1.友達が出来ました
桜丘学園に入学した私は先週ようやく入学式を終えて、新たな生活がスタートしていた。
私はとても楽しみにしていたのだ。
素敵な友達をたくさん作って、彼氏もできれば作って、楽しい学校生活を……そんな生活が私の夢だ。
というわけでまずは自分から話しかけてみようと思った。
だけど周りには二、三人で行動している子もいて、ああもうグループ作ってるんだなんて思ったりした。
寂しく一人で昼休みを過ごそうとしていると、女子の先輩達がクラスに入ってきて、ある一人の子の前に群がっていった。
黒髪が綺麗なその囲まれている女の子は分厚い本を抱えて困っている様子だった。
彼女は同じクラスの道野すみれちゃんだったっけ。
「あんたさ、何様のつもり?」
「ごめんなさい……」
「永遠先輩の元カノだからっていい気になるなっての」
「それな」
何この典型的なの。
永遠先輩っていう人がすみれちゃんの元カレで、その永遠先輩は人気者で、それで好きな子達が群がっていじめてるという解釈でいいのかな?。
すみれちゃんは悪くない気がする。
でも私が出て行って口を出すなんてことできない。
だって先輩にそんな口答えしたら、私が標的になるかもしれないし。
クラス中がザワザワし始めた時、私は考えるよりも先にすみれちゃんのところへと向かっていってしまった。
「何?」
「今こいつと話してるんだけど」
「えっと……部外者が口を挟むことじゃないと思うんですけど、すみれちゃんは悪くないと思います」
「はぁ?なにこいつ」
先輩達のことが怖くて、でもすみれちゃんがあまりにも可哀想で……。
もう何でこんなことしちゃうんだろうと思いながらも前に出ていると、男の人の声が聞こえた。
「何やってんの?」
「誰?って、黒水先輩!?」
「えっと、部活に誘ったりしてました!」
黒水先輩と呼ばれている人は、先輩達のことを睨みつけながら私とすみれちゃんの目の前にやってきた。
「大丈夫だからね」
そう私たちの方を見てニコリと笑うと、また先輩達へと視線を向けて口を開いた。
「後輩いじめとかしてんじゃねえよ」
「そんなんじゃ……」
「あ?」
「はい……」
「じゃあ、とっとと教室戻れよ」
「はい」
先輩達は黒澤先輩と一緒に教室を出ていった。
私は安心したと同時にすみれちゃんが大丈夫かととても気になった。
「すみれちゃん」
「ごめんなさい!!私のせいで……」
「そんなことないよ。大丈夫だよ!」
「私が……私が悪いんです。本当にごめんなさい。なんでもするので許してください!」
困ったな、と思いながらも私は頭の中でひらめいたことがあった。
「じゃあ、私と友達になってくれる?」
「そんな、私に友達だなんて……」
「そこまで卑屈にならないで。普通に友達になって?なんでもしてくれるんだよね」
「…分かりました。私、道野すみれです」
「私は松野梓。よろしくね!」
「はい!」