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三羽 魔の息吹

風邪とファイアーエムブレムのダブルパンチを食らって投稿がだいぶ遅れました。

その間にお気に入り登録も増えていたみたいで申し訳ありません。


それにしても、もうこの話MMOじゃなくてもいい気がしてきました。

うーん、設定を作りすぎた感がひしひしと…

あはははは。

まさか、もう上級職だなんて。

この生活が始まったときは思いもしなかったけど、今私は幸福だわ。

村を再建しようだなんて私一人でできっこない。

あのままだったら私はあそこでゴブリンに殺されて惨めに屍を晒すことになっていたでしょうし。

よしんば生き残っていたとしても、女子供がたった一人で生きていけるほど甘くもないし。

きっと体を売るか結局死ぬことを選んでいたでしょうね。

でも、それも仕方がないことなのよ。

結局この世は力が全てなんだから。

あの頃の私達には力がなかった。

だから私達の村は滅びたの。

ほら、英雄譚だって結局は力を持ってる人が力を持たない人を蹂躙することの繰り返しでしょ?


『荒れ果てた荒野に住んでいる魔族が住む場所を求めて人間を攻めました。

人間は力が無いから土地を追われました。

でも、人間の中で力を持っていた勇者が魔族をまた不毛な大地に追い払いました』


結局住みやすい土地を巡って力のある人が奪い合ってるだけ。

めでたしめでたしってどこがめでたいの?

あのお方が教えてくれたわ。

そもそも大昔に一緒に住んでいた人達を魔族と呼んで不毛の台地に追いやったのは人間だって。

まだ力の無い存在だった彼らと当時世界を数という力で支配していた人間。

どちらが勝つかは目に見えている。

最もそんな場所で生きなくてはならなくなって彼らは力を手に入れていくわけだけど……

そう、結局この世は力が全て。

だから一部の人しかなれない上級職になる権利を手に入れた私には間違いなく力がある。

そう、か弱い女ひとりで何不自由なく生活していけるだけの力が。

むしろそれなりにいい生活さえ送れると思うわ……

そう、私一人だけならばね。



でも……そんなことをしたら私は一生後悔する。

村の皆を生き返らせる可能性を見つけてしまった。

今ならまだ引き返せると思う。

なんとなくわかる。

いつかは鈴姫は私の体から出て行くことが。

それがいつのことかはわからないけど、でもいつかはこの体も私に帰ってくる。

きっとその頃の私は今よりももっと力を持っているでしょうね。

人から英雄と呼ばれて何不自由なく幸せな生活を送ることができるに違いないわ。

栄光に満ち溢れ、光に包まれた生涯を送るだけの力を。



たぶん村の皆も私にはそうやって生きて欲しいんだと思う。

でも、でも。

私はあの村の光景を忘れられない。

お母さんに貯蔵庫に押し込められて震えながら聞いた断末魔の叫び。

誰かがゴブリンを追い払うために火をつけたのか真っ赤に燃え上がる家。

血のむせ返るような匂い。

真っ赤に染まったお母さんに作ってもらったぬいぐるみ。

赤赤赤……赤い色の支配する世界。

遠くから聞こえてくる楽しげなゴブリンの笑い声。

泣き叫んで皆に駆け寄っても誰も答えてくれない。

血と炎と冷たい皆。

私は忘れない。

あの光景を忘れない。

千尋以外の全てを失ったあの日を忘れない。

絶対に忘れてなんかやらない!!

たとえ地獄に落ちたとしても……

そう、私は光に包まれた人生なんてものはもういらない。

私の村が襲われたあの日、その英雄なんて呼ばれる人は何もしてくれなかった。

私は知っている。

あの日隣に住むお姉ちゃんが町に行って助けを呼んでいたことを。

そして、町へ行く途中の道の中で一人死んでいたことを。

でも、それは決して町へ行く途中に死んだんじゃないってことを。

お金になら無そうな私達の村は見捨てられたんだってことを。

そして、やっと見つけた冒険者に騙されて村に向かう道の途中で……



結局力がこの世の全てなんでしょ?

そうじゃなかったな何で私の村は滅びたの?

何でお姉ちゃんは冒険者にあんな目に合わされたの?

私達が何か悪いことをした?

ううん、もし仮にしていたとしてもあんな目にあわなければいけないようなことなんてあるわけが無い。

ゴブリン達は力を持っていたから私達を殺して一時の楽しみと食料を手に入れた。

冒険者は力を持っていたからお姉ちゃんをいいようにした。



力、そう力……

私は力を手に入れるの。

あの幸せな日々を取り戻すために。

あの幸せな日々を永遠のものとするために。

私の目標はまだスタート地点に立ったばかりなんだから。

待っててねお父様お母様そして村の皆。

私は鈴姫という力を手に入れたわ。



だから鈴姫。

私はあなたに全てをあげる。

最後に残った千尋を奪った憎いあなただけど。

私の体を奪った憎い憎いあなただけど。

あなたに私の全てをあげる。

そう、何もかもをあなたにあげる。

だから、私の体をあなたが捨てることは許さない。

あなたと違って何の神様の加護も受けない私のちっぽけな力だけど。

ただの村娘に過ぎない私だけど。

村の絶望を一身に背負った私から逃げられると思わないでね。

だから、私はもう全てあなたの物よ。

これからは私のちっぽけな才能も未来も全てあなただけにあげるわ。

それだけじゃない私の復讐心、野望…そうすべてね……



「ぉーい。おーい! まったくどうしたのよあんた。急にボーっとしちゃって。ほら、さっさとスキル覚えちゃうわよ」

「え、え~っと……あ、みっちゃんだ~」

「みっちゃんだ~じゃないわよ。さては寝落ちしてたわねあんた。私に自分の文のスキル構成まで考えさせておいて寝ようだなんていい根性してるわね」

「きゃ~痛い痛い。暴力はんた~いだよみっちゃん」



無事に成功したみたいね。

今のペースだといつまでたっても「ネクロマンサーの笛」を覚えることは出来ない。

戦いに使えるスキルを覚えながらだと前提スキルを満たすことすら出来るかどうか。

みきがいなければ私の望むスキルを覚えさせることは出来ると思う。

でも、そうすると今度はレベルを上げることがおぼつかなくなる。

ただでさえ戦いに向いてないのにみきの庇護下を離れたら強い敵と戦うことなんて望むべくも無い。

ならどうすればいいか。

私のスキルポイントを使えばいい。

不審に思われると思う。

知らない間にスキルレベルが上がってるんだから。

恐らくみきはいずれ何か白木がついてしまうと思う。

でも、他に方法は無い。

私のポイントをためて置けば気がつかれることなく一気にスキルを上げることは出来る。

出来るけど、私のスキルポイントが残っていてはもしかしたら鈴姫が転職できないかもしれない。

みきにばれてしまうよりもここで転職できない可能性があるほうがよほど困ってしまう。

最も、ただの村娘に過ぎない私が入手出来るスキルポイントなんてのはすずめの涙だと思う。

神様の加護を受けた鈴姫とは違うのだ。

鈴姫が一つレベルを上げる間に1ポイント入手出来るとしたら、私は2上げる時にやっと1ポイントといった所。

それでも鈴姫のレベルが15だということは私も15。

一番の基本スキル演奏をまだ極めることは出来ないけど、その一歩手前9まであげることが出来る。

体は同じだから体に依存したステータスポイントを得ることは出来ないけど。

これで私の目標が一歩近づくわ。



あのお方が教えてくれたの。

魔族がどうして魔族なんて呼ばれるようになったのか。

人間に追われた最初の理由はなんだったのか。

それはね。

今の私達と同じなのよ。

何らかの理由で一つの体に二つの魂が宿ってしまったことだったって。

元をたどれば魔族だって同じ人間らしいわよ。

ただね、二つの魂で他の人の倍のスピードでスキルを覚えることができたらしいの。

最初はもてはやされたらしいわ。

天才だってね……

でも、当時人間にはめぼしい敵がいなかった。

平和な世の中に過剰なまでの才能を持つ彼らしだいに尊敬は恐れに変わっていくのは当然のことよね。

この世界は力が全てなんだから。

だから数の暴力という力を使って彼らは追いやられた。



ふふふ、人間の限界を超えた気分はどうかしら鈴姫?

私からのプレゼント気に入っていただけたかしら?

まあ、あなたがどう思うかなんて関係ないわ。

ふふふ…一緒に化け物になりましょう。

おめでとう鈴姫。

最も新しい魔族の子。

でも、平凡な人間の魂二つをもつ人間が魔族と呼ばれるのなら。

いくら私の魂が平凡な魂だとしても、もう片方が神様の加護を受けたあなたの魂だったとしたら私達はなんと呼ばれるのかしらね?

でも、無理をしたからかしら……ものすごく眠いわ……



「さて、じゃあ早速スキルを覚えるわよ。あんたはとりあえず鳥使いを5にしてまずは極めなさい。魔物使いの上級職になるにしろ演奏系になるにしろ有って損はしないから。それと、余ったポイントは捕獲に回しておけばこの間みたいに苦労しなくてすむかしらね」

「わかったよ~」

「それと、あんたの鳥達のスキルだけど……」


私もみきの説明を聞かなくちゃ。

少しでも強くなるために…

説明を……せつめ……


「で……こうすれば……」


聞かなくちゃ……




「鈴姫! あんたこれは一体何!」

「何って言われても私にもわからないよ~う~ん、バグなのかな?」


ここはどこ?

みきは何で怒っているの?

スキルを覚えようとしてたはずだからスキルポイントに気がついたのかな?

でも、もう遅いわよ。

もう神に祝福された魔族の子は生まれてしまったのだから。

でもおかしいわね。

どうもそれに対して怒っているわけではないような……


「バグ……そうよね、あんたに怒っても仕方が無いことだったわ。ごめん鈴姫」

「ううん、べつにいいよみっちゃん」

「ありがとう。でも、職業を二つ入手するなんてね。全くあんたといると本当に退屈しないわ。とりあえず私は公式にメールを送ってくるから今日はもう寝ましょ」

「うん、私もうくたくただよ~」


あら、職業が二つ。

あきらかに私の影響よね。今までは私は鈴姫に完全には協力してなかった。

でも、今はもう私は完全に鈴姫の力になったから。

きっとそのせいでしょうね。

それに神様の加護を受けているのも関係しているかしらね。

どちらにせよ私には都合のいいことだわ。

みきの言葉に聞いたことが無いものが入ってたのが気になるけど……

あなたに私達の邪魔はさせないわよ。


ーー鈴姫の胸に暗く光るギルドカードには「魔鳥使い/町長」の文字が刻まれていたーー


そうして夜は更けていく。

その夜私の眠るベッドの周りで動くものはただ一羽を除いて何も無かった。

いつになったら説明回が終わるのか…

これ以上説明を続けても自己満足感が強いだけですし、次からは暫く説明を少なめにして私視点からみたクエストの話でもかいて見ようと思います。

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