二羽 レベルアップ
うーん、どうすれば読みやすくなるんだろう。
とりあえず今回は数行ずつで段落を分けてみましたが…その内一番読みやすい描き方で統一すると思いますが。
それと、すみません今回もまた説明回です。
「それにしても、まさか一度に上級職昇格試験の条件を達成できるなんて思わなかったわ」
「え~そのつもりだったからクエスト全部同時に受けたんじゃなかったの?」
「そんなわけ無いじゃない。数日に分けてやるつもりだったのよ。それをまさかあんたが全部のクエスト分のモンスターを釣って来るなんて思わなかったから本気で死ぬかと思ったわ」
「えへへ~凄いでしょ~」
「褒めてないわよ!!」
「や~ん、みっちゃんが怒った~」
それにしても、流石神の加護を受けているだけのことはあるわね。
私もまさか一日でクエストを達成するなんて思わなかったわよ。
しかもほとんど無傷で……
みっちゃんの考えたスキル構成が如何に優れていたのかがわかるわ。
やっぱりあの時あの女にスキル選択を委ねて正解だったな。
時は少し戻って前回のクエストから帰った、後みっちゃんは宣言通り鈴姫を連れて訓練場に向かった。
なんだかんだで鈴姫はレベルが8から11になっていたので入手したスキルポイントは3つ。
私としても少しは鈴姫に戦闘能力を持ってもらわないと困るので本来の目的からは少し遠ざかるけど、この3ポイントには私は干渉しないつもり。
そもそもここで私の存在についてみっちゃんに疑われるのはまずい。
鈴姫なら何とでもごまかしようがあるかもしれないがあの女はごまかせる自信が無いし。
と言うわけで、あなたのお手並みを拝見させてもらいましょう。
「さて、一応聞いておくけど。鈴姫あんたはこの3ポイントでどのスキルを取るつもりだったの?」
「え~っとね、演奏を二つ上げて~演奏レベル4が取得条件にある「弾き語り」をとろうかな~って思ってたの。凄いんだよこのスキル。なんと演奏しながら口が自由になるから他のスキルを使ったりルナに指示を出したり出来るんだよ~」
「へーそれは凄いわね。で、あんたはどうやって笛を吹きながら喋るつもりなの?」
「え、だからどうやってって「弾き語り」を使ってだよ~やだな~みっちゃんってば」
「頭痛い。いい、口が笛でふさがってるのに喋れるわけ無いでしょうが!!」
「あれ、ほんとだ~」
頭を抱えるのが基本動作になってしまったみっちゃんの横で鈴姫はけらけら笑ってる。
正直みっちゃんの面倒見の良さは凄いと思う。
何でこんな女の面倒を見ているんだろう?
何か弱みでも握られてるんだろうか?
「全くこの子は本当に私がいないと何も出来ないんだから」
「えへへ~みっちゃん大好き~」
私の目的に散々利用させてもらうつもりだったけど、私が利用しなくても将来悪い男の人に散々利用されてたんじゃないだろうか?
少し心配になってきたわね。
私の目的を果たしたら村の働き者で有名だった近所のお兄ちゃんでも紹介しようかしら?
「なんか話が脱線しちゃったけど、あんたに任せておけないことがわかったわ。とりあえず演奏系のスキルはおいておきましょう。攻撃曲とかもあるけど、あんたじゃMPが少なすぎて威力は大きくても数発撃ったら終わりになりそうだし。演奏を伸ばすのは後回しにしてまずは鳥使い系のスキルを覚えましょうか」
「大鑑巨砲主義ってロマンだと思うんだけどな~」
「そんなもの鳥にでも食べさせなさい。そうね、とりあえず鳥使いのスキルを二つ上げて3にしなさい。そうすれば一度に2羽連れて歩けるようになるしね。あんたの馬鹿みたいなCHRならLV1の鳥でもそれなりの能力になるでしょうし。残り1ポイントは捕獲ね。頑張って少しでも強い鳥を手に入れるわよ」
「え~捕獲LV1で強い鳥を入手するのって難しくない?」
「難しくてもやるの。あんたは頑張って口笛で鳥を集め続けなさい。千羽も集めてくれば一羽くらい良いのがつかまるでしょ」
「そう言えばみっちゃんってモンスターを捕まえたりするのって何十時間かけてでも妥協しないタイプだったね。あ、でももう日が暮れてくるよ? 鳥はもういないかも……」
「そうね、それじゃあ梟にしましょう。梟は賢いし意外に獰猛だしでかなり使い勝手が良いらしいわよ? それじゃあ梟のいる森に向かいましょう」
「や~だ~」
その後のことは私は鈴姫の中で眠ってしまったのでよくわからない。
ただ、結局納得するまでに2日かけたことだけを一言付け加えておく。
それはともかく、時間を戻して今回達成した上級職資格試験についてだけど。
試験を受けるには最低条件としてレベルが15以上であること。
それにプラスしてCランク以上のクエストを3回クリアしていること。
もしくは冒険者ギルドに2000G以上寄付していること。
このどちらかをこなす必要があるらしい。
でも、ほとんどの人はこつこつと依頼をこなして2000Gためて挑戦する。
Cランクのクエストはそれほど難しいものなんだけど……
鈴姫達は朝依頼を3ついっぺんに受けたかと思ったら夕方までにその全てを終えてしまうという最短記録を樹立してしまったようだ。
正直この戦い方がばれたらこの世界の戦いが変わると思う。
私はこんな戦い方があるだなんて思ってもいなかった。
でもみっちゃんいわくフレイヤー達の間ではそう珍しくも無い戦法なんだとか。
確かに言われて見れば単純な戦い方ではあるんだけど……
やったことは簡単で最初に鈴姫が一人でモンスターの集団を集めてくる。
そうしてみっちゃん達が待つ場所(集合場所と呼んでいた)に誘導をしたらとんずらをつかって逃げ出す。
そうして集まったモンスターが集合場所に向かうのをルナや梟は遠距離スキルを、みっちゃんは弓や投石なんかを使って攻撃。
モンスターが集合場所に近づいたら遠くに離れた鈴姫が口笛を吹いて敵を集める。
それで鈴姫に近づいたらまたとんずら。モンスターは集合場所に帰っていく。
これをただ繰り返しただけだ。
途中鈴姫にモンスターが釣られなくなったら口笛を二回三回と吹く。
流石に鈴姫はMPポーションの飲みすぎでおなかいっぱいみたいだけど、気がついたら一度もモンスターに近づくことなく大量のモンスターを殲滅し終わっていた。
ただ、誤算だったのが鈴姫が途中別の集団まで呼び寄せてしまい中々終わらなかったのと、みっちゃんの周りにはもう投げられそうなものが無くなってしまい途中から石を探しに行かなくては成らなくなった事。
しかし、全く被害も無くこれだけの数の敵をたったの二人と二羽で倒してしまうと言う奇跡はこうして成し遂げられた。
「あのー鈴姫さん、ミキさん話を続けてもよろしいでしょうか?」
さっきからほったらかしにされていたギルドの受付のお姉さんが恐る恐ると言った感じで話しかけてくる。
そう、実は私が長い回想に入っている間にいつの間にか冒険者ギルドで依頼の報告をしていたらしい。
私の記憶が確かならこの人は朝はマニキュアを塗りながら適当な態度で話しかけてきていたはずだけど。
それが、今はまるで化け物でも見るかのような目でびくびくしながらこちらを見ている。
「あ、すみません。ほらあんたも謝りなさい」
「わかった、謝るから私の頭を無理やりつかまないでみっちゃん。っあHP減ってる減ってるからみっちゃん」
「やめて欲しかったら早く謝りなさい」
「すいませんでした~ほら謝ったからもうやめて! HP赤くなってるから!」
一通り落ち着いてから再びお姉さんが話しかけてくる。
「お二人は条件を満たされましたので次の上級職試験に申し込んでおきます。明日の13時から開始となりますので遅れないようにしてください。また、注意といたしましてお二人ともスキルポイントが余っていらっしゃるようですが、試験までに訓練場で使い切っておくようにしてください」
「ステータスはポイントが余っていてもいいんですか?」
「ええ、ステータスは全部1ポイントで上がるスキルと違いまして、10を超えると2ポイント、20を超えると3ポイント必要になったりします。ですのでどうしても端数が出ることが多く別に使い切れなくても構いません。ですが、やはりステータスが高いほうが有利になりますので出来る限り上げておくことをお勧めします」
なるほど、あまりポイントをCHR以外に入れる必要は無いって事ね。
死んでも生き返ることが出来るんだったら防御に入れる必要性は薄いし。
攻撃に少し入れたところで大して意味が無いと思う。
唯一入れる価値がありそうなのはMPが増えるからINTだけど……
「あんた今日途中からヘイトが足りなくなってたからとりあえず全部CHRに入れておきなさい」
「え~またあの戦い片するの~? あれつまんないしアイテム拾えないからもうやりたくないんだけど~。それにCHR特化あんなに嫌がってたのみっちゃんじゃん」
「正直私とあんたのパーティーじゃああれ以上に効率のいい狩り方が無いのよ。他のプレイヤーとパーティーを組めればいいんだけど……何故か皆断られるのよね」
「みっちゃんがきつそうだからだよきっと~」
「あんたののりについていけないのよ!!」
私が思うに二人ともに問題があると思う。
まあ、人数が増えられると私の目的達成の邪魔になるし現状この二人で困ってないしね。
そもそもここら辺は田舎だからほとんど私達以外のフレイヤーを見かけないと言うのもあると思うけど。
「えっと、話を続けてもよろしいですか鈴姫様?」
「うん勿論良いよ~」
なんか受付のお姉さんの態度が変わった気がする。さっきまでは化け物を見るような目つきだったのが、今は崇拝でもし出しそうな目つきだ。
もしかして今上げたCHRのせい?
えーっと今は……24!!
24ってお話に出てくる傾城の美女とか言われている人のレベルじゃ……
「あー君。話を変わりたまえ。このお方は上級職試験希望だったね。ならここからは私が受け持とう」
「何言ってるんですかこのエロ親父が。このお方の担当は私ですよ。お呼びじゃないんだからあっちいっててください」
「君、それが上司に対する口の利き方か! 少し頭を冷やしてきなさい。この方達の担当は私がしておくから」
「なんか喧嘩始まっちゃったけどどうしようか~」
「うーん、とりあえずそこにある試験の申込用紙だけ書いちゃいましょう。書き終わったら書類だけ置いて帰っちゃえば良いと思うわ」
「いいのかな~?」
「私に聞かれても知らないわよ」
私達が書類を書き終わって外に出ても中から途切れることなく騒がしい声が聞こえてきた。
横を見るとミキも苦笑している。
鈴姫は気にもしてないみたいだけど……
それにしても、これもフレイヤーの力なのだろうか?
いくらなんでも余りにもおかし過ぎる。
伝説の女性だって確かレベルが30は越えていたというし。
それがたったの15で到達してしまうなんて。
いくら他の能力は上げてないとは言っても。
でも、この成長速度なら普通に考えると取れるわけが無い「ネクロマンサーの笛」も順調に覚えられるかもしれない。
ふふふ……頑張ってね愛しい愛しい鈴姫……愛しい愛しい私の手ごま……
もっともっと頑張って私の目標をかなえて頂戴。
そうしたらあの村で私と一緒に暮らしましょうね?
なんか私も鈴姫に魅了され始めているような…
それと、今回新しく仲間になった梟さんは次回詳しく説明する予定です。