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06 ヒモ


 そんなわけで、嫁さんが4人になった、俺。


 お互いに甘えたり甘やかしたり、ちゃんと家族出来てると思う。


 でも暮らしが安定すると、今度はなんやかんや考えちゃったり。


 俺、今までどおりのヒモ野郎でもいいのかな、なんて。



 ずっとみんなに甘えっぱなしでヒモムーブ全開だったけど、


 一家のあるじとして、もうちょい頑張んなきゃいかんでしょ。



 確かに、今の俺ってめっちゃ幸せなんだけど、ヒモを卒業して頼り甲斐のある一家のあるじになれば、今よりもっと幸せになれるかなって。




「今さらでしょ」


 メリシェラちゃんが俺の決意表明を瞬殺しちゃったんですけど。



「よそはよそ、うちはうち、ですよ」


 よそとかうちとか関係無しに、ヒモはとっとと卒業すべきだと思いませんか、ナナさん。



『アマツさんは、自身の特異な境遇を今一度しっかりと見据えるべき』


 しっかりと見据えた結論がヒモ卒業宣言だったんですよ、レミュさん。



「みんなが言いたいことは、大別すると3つ」


 イオちゃん?



「ひとつ目、この家での今の暮らしは、もう充分幸せってこと」

「仲間のみんなも、この町の人たちも、我が家の特殊事情をしっかりと理解してくれている」

「見知らぬ不特定多数の世間様からの承認が欲しいのではなく、分かって欲しい人たちからしっかり認めてもらっているのだから、今の生活には何の問題も無い」


 ……なるほど。


 言われてみると、確かにそうかも。



「ふたつ目、アマツさんは、もう立派に一家のあるじの役割りを果たしているってこと」

「アマツさんの役割はこの家の大黒柱として、みんなが安心して暮らせるよう家族の中心にいること」

「私たちがアマツさんに望むのは、みんなを養う大黒柱じゃ無く、一家の中心でどっしり構えていてくれる大黒柱なので、みんなから養われていることを気に病むことは無い」

「なぜなら、アマツさんが幸せであることが、家族みんなの一番の願いなのだから」

「どうしても世間がどうこう言うのが気になるのなら、全力で世間に実力行使する」


 えーと、実力行使はNGですよ。


 イオちゃんのはシャレにならないからね。



「みっつ目、幸せのカタチは人それぞれってこと」

「ここにいるみんなが、このままの暮らしを望んでいる」

「事情を知らない人には、我が家はアマツさんのハーレムに見えるかもしれないけど、本質は真逆」

「アマツさんに囲われているのではなく、みんながアマツさんを甘やかすために囲っている」

「つまりは、今の在り方こそが、私たちの望み」

「みんなはこの幸せを守るために頑張っているし、この包囲網に賛同する乙女なら誰でもウェルカム」

「アマツさんがこの状況を享受して、今よりもっと幸せを感じてくれると嬉しい」



 ……なんだか、目から鱗ですよ。


 みんなで一緒に幸せになろうよって、俺が家族を増やしてたつもりだったけど、


 幸せを追い求めたみんなが集まって来たってことでもあったんだね。



 これって確かに"よそはよそ、うちはうち"


 よそ様には一切迷惑かけてないし、うちの家族はコレで幸せなんだから、よそからどうこう言われる筋合いは全く無いよ。




「納得した?」


 はい、しっかりと分からされちゃいましたよ、イオちゃん。


 でも、誰でもウェルカムってのは、ちょっと言い過ぎじゃない?



「大事なのは、我が家の在り方を否定しない人であること」

「もちろん、異物混入の際は、嫁連合が全力で対処する」


 ……嫁連合、怖すぎ。



「ちなみに、現在保留中の嫁開拓ルートは3つ」

「ギルド受付嬢のサリアさん」

「牧場のひとり娘のリシェイナさん」

「メネルカ魔導国のフィルミオラ女王様」

「いずれのルートも、ご要望とあらばすぐにでも進行可能」


 えーと、しばらくは全面通行止めでお願いね。



 ---



 てな感じで、俺の脱ヒモ人生は成らず。


 ってか、俺のヒモ生活のヒモって、


 嫁さんたちにぶら下がるヒモってだけじゃなくて、


 みんなから逃げらんないようにぐるぐる巻きにされたヒモでもあったのね。



 まあ、いいんじゃない。


 広い異世界、ひとりくらいこんなヒモ野郎がいてもさ。


 誰に迷惑かけてるわけでも無し。



 めざわりだとかカッコ悪いとか、


 そういうこと思う人もいるだろうけどさ、


 出来ればそっとして置いてほしいね。



 なんたって、うちの嫁さんたち、


 ちょっかい出してきたヤツには容赦しないから。



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