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05 四人目


 そして次のおデート相手は、メリシェラちゃん。


 嫁じゃないけど、同居家族としてちゃんと労ってあげなきゃね。


 いっつもメネルカ魔導国への報告書の件で苦労させちゃってるし、


 今日はがっつりデートしようね。



「デートじゃないっての」


 はいはい、照れなくていいよ。


 嫁さんだけじゃなくて、妹とお出かけするのもアリだよね。



「……」


 それで、どこ行くのかな。



「黙ってついてきて」



 ---



 町の牧場で、いつものお馬さんを借りまして、


 エルサニア王都へ向かう街道を、お馬さんに揺られてパカパカと。


 もちろん、ふたり乗り。



「どう、私の乗馬テクニック」


 もしかして練習してたでしょ。


 こんなに上手くなかったよね。



「お馬さんに乗ると、目線が高くてすっごく気持ちいいし」


 なるほど、ちっちゃなメリシェラちゃんならではの理由ですな。


 でも、手綱をとるメリシェラちゃんに俺が後ろから抱きついてるこのポーズ、


 なんか周りからの視線が痛いんだけど。



「抱きつくのはしょうがないけど、あちこち手を動かしちゃ駄目だからね」


 まあ、変なことしてお馬さんを驚かせたくないので、おとなしく密着してますよ。



「いや、そんなに密着しなくてもいいから」


 だって、メリシェラちゃんのシンプルボディだと、掴みどころがアレで手持ち無沙汰だし。



「ちょっと、お馬さんの上で何する気だったのさ」


 せっかくのおデートだし、ハプニングのひとつでも起きないと。



「いらんわ、そんなもんっ」



 ---



 そうこうしてるうちに、もうじきお昼。


『Gふなずし』のナビ画面の地図を参考に、街道を外れて道なき道を進むと、


 お馬さんの休憩場にちょうどいい感じの、穴場ちっくな草原に到着。



 きれいな小川のお水と草原の柔らかな若草に、満足そうなお馬さん。


 見てるとお腹が空いちゃうね。


 メリシェラちゃんも、いそいそとお昼ごはんの支度。



「はい、お昼」


 それじゃ、いただきます。



 パクリ、モグモグ



 ほほう、もしかしてメリシェラちゃんお手製のお弁当ですな。



「なんで分かったのっ」


 俺なりの推理ですよ。


 このサンドイッチ、


 具材のセレクトがイオちゃんっぽくないし、


 美味しいけどナナさんの味付けとは違うし。


 そしてレミュさんは食べること専門。


 つまりは、メリシェラちゃんが頑張ったサンドイッチ、だよね。



「いつもはニブチンなのに、たまに無駄に鋭いんだから」


 まあ、美味しいからヨシってことで。



「本当に美味しい?」


 うん、いつでもお嫁さんの準備OKだね。



「……3人もいたら、もう満員でしょ」


 俺はこういう生き方しか出来ないんで、これからも嫁さんが増えちゃうと思う。


 もちろん、気に入った娘さんをほいほい引っ掛けてくるんじゃなくて、


 お互いが必要とし合うってことが最低条件だけど。


 それに嫁さんの件は、けんちゃんのお墨付きをもらえたつもりだし。



「まあ、頑張ってよね」


 メリシェラちゃんも、いつでもウェルカムだからね。



「……だって、私のことオトナの女扱いしてないし」


 対等な関係だと思ってるから、メリシェラちゃんの意思を尊重してアプローチを待ってるつもりだよ。



「……いっつも子供体型だってからかうし」


 俺は体型や種族で差別も区別もしないよ。


 さすがにマクラちゃんみたいな子供から告白されたら困っちゃうけど、メリシェラちゃんはオトナの女性でしょ。



「……なんだよ今さら」

「いきなりそんなこと言われても困るっての」


 家族なんだから、遠慮は無し、だよね。



「じゃあ、遠慮するの、やめる」



 ---



 街道を、お馬さんに揺られてパカパカと。


 たづなは、俺。


 俺の腕の中には、片側に足を揃えてちょこんと乗ってるメリシェラちゃん。


 そういう乗り方って、お姫さま乗りとでも言うのかな。



「だって、足を開きたくないし」


 えーと、ごめんね。



「……いいから」



 ---



 そんな感じで、ペンネッタの町に到着。


 牧場にお馬さんを預けたら、いそいそと我が家へ。


 大事な報告事項も出来ちゃったし。



 って、どうしたの、メリシェラちゃん。



「……おんぶ」


 歩くのしんどい?



「これからは遠慮しないでがっつり甘えるから」


 はい、どうぞ。



 ぎゅっ



「重くない?」


 俺の実体験として、嫁さんの中ではメリシェラちゃんが一番軽いよ。



「本当、経験豊富だよね」


 ところで、永久就職しましたってメネルカに報告する?



「うん、今さら配置換えとかされたら嫌だし」


 そっか、フィルミオラ女王様、何て言うかな。



「分かんないけど、もしかしたら羨ましがるかも」


 女王様もいつでもウェルカムだよって伝えてね。



「絶対言わないからっ」



 ---



 我が家に着いたら、家族みんなからおめでとうって言われて、


 照れたメリシェラちゃんは自室に逃げちゃったよ。



 あー、イオちゃんの俺への常時紐付け監視で、諸々バレバレだったのね。



「ちゃんと空気を読んで、途中から監視オフ」


 えーと、途中ってどこまでだったのかな、イオちゃん。



「お赤飯、冷めても美味しいから大丈夫ですよ」


 お気遣いありがとうございます、ナナさん。


 お嫁さんの先輩として、いろいろ教えてあげてね。



『真っ赤っかのメリシェラさん、とっても可愛らしかった』

『まさに可愛さ限界突破』


 あの時のレミュさんも、同じくらい可愛らしかったですよ。



 本当、両手に華なんてもんじゃないよね、今の俺の暮らし。


 夫冥利に尽きるね。



 ---



 というわけで、メリシェラちゃんが4人目の嫁さんに。


 俺としては、ようやく落ち着くとこに落ち着いた感じ。


 きっと今までよりも甘えんぼさんになると思うので、みんなでいっぱい甘やかしちゃいましょ。



「甘えまくってやるからっ」


 どんとこいですよっ。



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