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03 二人目


 おデート2人目は、レミュさん。


 いつものんびりマイペースで、あまりわがまま言わないレミュさん。


 今日はいっぱいわがまましてもらいましょ。


 それで、今日の予定は?



『私の寝床が荒らされてないか、見に行きたい』

『駄目?』


 もちろんOKですよ、あの滝の裏の洞窟は、俺もお気に入りなんです。




 ってことで、竜のレミュさんに乗ってアレノマ王国まで行くことに。


 町中で竜への変身はNGなんで、まずは人目につかないとこまで移動。


 そこそこ離れた森の中で、レミュさん大変身。



『はい、乗って』


 相変わらずカッコいいですね、竜のレミュさん。


 赤銅色っていうのかな、重量感のある濃い赤が、威厳と風格マシマシって感じですよ。



『そんな重くないし』


 あー、ごめんね。


 乙女に重量感なんて言っちゃ、ダメだよね。



 それじゃ失礼して、背中によっこいしょっと。



『じゃあ、飛ぶよ』



 ---



 うっひょー、超気持ちいいっ。


 高いとこは苦手なんで自分ひとりだったら飛びたいとは思わないけど、


 レミュさんの背中の上だと最高に気持ちいいですね。



『喜んでもらえて嬉しい』


 この高度であんまり目立つと、変なのに見つかりそうだし、


 もっと高いとこ飛びません?



『相手との力量差も分からんような変なのがちょっかい出してきても、遠慮無く返り討ち』

『人族って、なんで無茶するのかな』


 今までにもちょっかい出されたこと、あります?



『昔、大きな戦争してた頃は、どっかの国の騎士とかがちょこちょこ腕試しに来てた』

『真面目な騎士なら実力差が分かるとおとなしく降参するから、健闘具合によって適当におみやげ渡して帰ってもらう』


 騎士の人たちにとっては竜に挑むこと自体が名誉なんだろうし、実力に応じたおみやげまでもらえたら嬉しいでしょうね。



『戦争が終わってからは、冒険者がパーティー組んでわさわさ来るようになった』

『アイツら本当ウザい』


 なるほど、単騎で勝負しにくる騎士とは違って、パーティーだといろいろウザそう。


 そもそも、レミュさんクラスの竜をどうこう出来るなんて自惚れてる空気読めない連中は、問答無用でヤッちゃってもいいでしょ。



『人族にもいろんなのがいるように、竜だってピンキリ』

『そこそこの冒険者にあっさり負けちゃうようなヨワチンな竜もいるから、勘違いした連中が後を立たない』


 なんかゴメンね、人族が迷惑かけちゃって。



『うちの里では、負けるような弱いヤツが悪いっていう風潮』

『ヤンチャしに人里まで降りて、そのまま帰らなかった若造も多かった』

『まあ、トカゲとメンタル変わらんようなダメ竜なら、討伐されても致し方無し』


 でもそれって、結構昔の話しですよね。


 今だったら、竜が討伐されれば世界的なニュースになるだろうし。



『最近は、里長たちが頑張って若い子の教育をしているので、そこそこ安泰』

『ただ、閉鎖的なのを嫌う連中が、この間みたいに暴走しちゃう』

『ストレス発散、大事』


 レミュさんは、ストレス溜めないでくださいね。



『アマツさんやみんなにいっぱい甘えてるから、大丈夫』

『はい、そろそろ到着』



 ---



 着陸してすぐに乙女姿に変身したレミュさん。


 スゴいよね、国境3つ越える距離も余裕でひとっ飛び。


 幌馬車で数ヶ月の旅が、竜のレミュさんなら本当あっという間。


 これほどのスピードって、ただ飛んでるだけじゃなくて、竜のチカラでブーストとかしてるんだろうな。



 アレノマ王国の"北の魔境"にある滝の裏の洞窟は、以前来た時のまま。


 奥の方には、レミュさんの作った巣がそのまま残ってるね。



『匂い、嗅いだら駄目だよ』


 やりませんって。


 でも、あのふわふわな羽毛とか、ちょっと触ってみたいかも。



『知り合いのグリフォンから譲ってもらった』

『ふわふわ感アップと防虫処理済み、もちろん永久消臭加工も欠かせない』


 いいなアレ、最高の羽根布団になりそう。



『残念ながら予約でいっぱい』


 グリフォン羽根、竜さんたちにも贅沢品なのね。



『ああいうのを集める冒険も楽しそう』


 ですよね、争いごと無しだったら集めてみたいかも。



『逸品収集の旅、気が向いたら私も付き合う』


 はい、その時はよろしくね。




 お許しが出たので、レミュさんの巣の中へ。


 ふかふかグリフォン羽根を堪能しながら、


 レミュさんを抱きマクラにして、一緒にお昼寝。


 めっちゃ気持ちいい……



 ---



 ぐー



 お腹が減って目が覚めちゃったよ。


 残念ながら、今日はお弁当を持ってきてないんだよね。



『この辺りでなんか狩ってもいいけど、私たちだと解体も調理もアレだよね』


 ですよね、そういうのはイオちゃんたちにお任せしてたから、そっち方面のスキルはお察しなんですよ。


 おかげさまで、かなり舌が肥えちゃってるし。


 ここで不味いもん食べるくらいなら、アルビ村まで行った方がいいのかな。



『だったら、うちに帰ろ』



 ---



 帰りは、レミュさんの『転移』で。


 あっという間に我が家へ着いちゃったけど、せっかくのおデート、こんな感じで良かったの?



『楽しく無かった?』


 いえ、めっちゃ楽しかったですよ。


 レミュさんが嫌じゃなかったら、これからもこんな風にお出かけしたいです。



『気が向いたら』


 はい、よろしくね。




 そんな感じのレミュさんとのおデート。


 これからも、のんびりやさんなレミュさんのペースで、楽しく暮らしてほしいですね。



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