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12 ゼロ


 女の子は、マナナシュネちゃん。


 種族は、精霊。


 お仕事は、ダンジョンの管理人さん。



 本当は人前に出てきちゃ駄目なんだけど、


 新しく作ったダンジョンにクリア出来なくて脱出不能になっちゃう不具合が生じたので、


 わざわざ迎えに来てくれたんだって。




「本当にごめんなさい」


 そんなに謝んないで。


 ちゃんと助けに来てくれて嬉しいよ。



「ありがとう、お兄さん」

「それじゃ、脱出するね」


 おっと、ちょっと待って。


 この部屋の外に、俺の嫁さんがふたりいるんだよね。


 一緒に脱出させてもらえるかな?



「分かった、一緒に出口まで『転移』させる」

「……お嫁さんがふたり?」


 えーと、説明は脱出してからってことで。


 それじゃ、よろしくね。



 ---



 一瞬でダンジョンの入り口まで『転移』しちゃったよ。


 さすがはダンジョン管理人さんだね。


 イオちゃんたちは大丈夫?



「びっくりしたけど、大丈夫」

「これってクリアしたってこと?」


 えーと、都合により途中退場って感じかな。


 何はともあれ、イオちゃんたちが無事で良かったよ。



「なんか大丈夫じゃないっぽいんですけど」

「諸々アウトなくらいのちっちゃな女の子を連れてきちゃってるんですけど」


 ちょっと、メリシェラちゃん、


 ちゃんと話しを聞いてからギルティ判定してよね。



 ---



 ダンジョンの入り口の近くにあった草っ原で、


 イオちゃんの『収納』からいろいろ取り出してお茶の準備が出来たら、


 マナナシュネちゃんとのお話しタイム。



 マナナシュネちゃんは、代々この世界のダンジョン管理人を勤めてきた由緒ある家系のお嬢さん。


 今は、お姉さんとふたりで、交代しながら管理業務を頑張ってるんだって。



 最近、好きな人が出来たお姉さんを応援したいマナナシュネちゃん、


 仕事が忙しいお姉さんを楽にさせてあげようと、諸々の工程の自動化を推進中。



 この自動生成型ダンジョンが上手くいったら、今まで付きっきりでやらなきゃならなかった管理の手間も減って、お姉さんのデートの時間も増えるよね、


 ってことだったんだけど、不具合を起こしちゃってごめんなさい、と。




「なんでボスが設定されなかったのかな」

「そもそも、一本道ってのも変」


 あーやっぱり、ボスの不在もダンジョンの構造も、不具合だったのね。


 ちなみに俺のお相手は、どんなボスが出る予定だったのかな。



「ステータス、見てもいい?」


 どうぞ、遠慮無く見ちゃって。


 たぶんびっくりするほどヨワヨワだよ。



「何これっ、なんで魔力の項目が無いのっ」


 ごめんね、そういうダメ仕様のレア人間なの。



「……不具合の原因、分かった」


 えーと、もしかして、俺?



「ボスの強さを算定する際に、挑戦者のステータスをチェックする」

「物理や魔法やスキルとか、装備や種族特性とか、いろんな要素を数値化して総合的な強さを算出」

「もしゼロっていう数値があり得ない箇所がゼロだったら……」


 ゼロに何を掛けてもゼロ、おかげでボスもゼロ、と。


 俺みたいな魔力ゼロな変なのが来ちゃったせいで不具合が起きちゃったのね。


 本当ゴメンね、変な人で。



「この事態を想定出来なかった私の方が悪い」

「せっかく私のダンジョンを楽しみにして来てくれたのに、中途半端しちゃってごめんなさい」


 じゃあ、修正が済んだら再チャレンジ出来るってことだよね。


 楽しみにしてるよ。



「それはそれとして、お嫁さんがふたり……」


 はい、説明させていただきます。



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