プロローグ
電車は揺れながら走っている。
窓からは街並みや、所々に残る田園風景が見えていた。
そんな車内で、俺こと柳瀬弘樹は一枚の手紙を読んでいた。
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拝啓 少しずつ暖かくなってきましたが、元気でやっていますか?
この春に大学を卒業するようですね。おめでとう。
本当は卒業式に行きたかったのですが、いろいろ事情があっていけませんでした。ごめんなさい。
さて、本題になりますが、私がこんな手紙を送った理由は、貴方に一つお願いがあるからなのです。
それは卒業式に行けなかった事情も関係しています。
実は先日、買い物に行った際、居眠り運転の車に跳ねられてしまいました。
幸い脚を骨折する程度だったので心配はいりません。ただ入院を余儀なくされ、お金の心配はないのですが、一つ大きな気がかりがあります。
それは私が管理人を勤めている寮のことです。
勘のいい弘樹ならもう気付いているかもしれませんが、私のお願いとは、私の代わりに寮の管理人をして欲しいのです。もちろん私の怪我が治るまでの期間限定です。
いろいろ弘樹にも、事情があるとは思いますが、私のお願いを引き受けてくれたら嬉しいです。 敬具
P,S 地図を同封しています
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手紙が送られてきたのはつい先日、狙ったかのように大学の卒業式の日だった。
差出人の欄には、達筆な字で眉村静香と書かれている。祖母からの手紙だ。
幼い頃に事故で両親を亡くした俺にとって祖母は親代わりでもあった。
そんな祖母からのお願い。
手紙を受け取った次の日、俺はすぐに荷物を準備すると電車に飛び乗っていた。
新しく書き始めました。よかったら続きも読んでみて下さい。
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