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第9話 すごいや! リラ先輩!

 セッカが正座している頃。

 露店では一騒ぎに似た、状態が起きていた。



「こちらは古い大砲を使って作るお菓子ですが

 危険はありません!少々音が大きいですが

 大砲が発射されるような状況をイメージし、お楽しみください!」


 次の瞬間にはドンッ!っと言う大砲の音が響き渡り

 その大砲の前に用意された布には真っ白い粒が飛び散っていた。


「はい!こうして大きくした穀物に液体にした砂糖を混ぜかけた

 国軍科のお菓子!『大砲菓子』はいかがでしょうか!

 こちらの容器1杯で銅貨2枚です!」


 ええ、ただのポン菓子です…。

 元々大砲を利用した事もあったという話なので

 大砲を魔法陣で満遍なく加熱。

 2年生の鍛冶科の先輩につけていただいた蓋で圧力を上げ

 一気に解放する事で作るというのを考えたのです。



 まず一般の方が大砲の発射を目の前で見る事が無い上

 これはそもそも練習用とは言え、人を殺す為の兵器。

 しかしそれは使い方次第であって

 こう使えば、美味しいお菓子も作れます!的な

 ニュアンスで提案した所、採用されたのです。


 まぁ米も砂糖は私が出したので、結果としては

 原材料費は今回はゼロ。

 次回はお米はゲーテルエードから輸入してね、と言う事で

 それでも価格的には安く済ませられ

 砂糖も入れて見込み銅貨2枚、日本で200円で

 十分やっていけるのと、ガスなどが要らず

 魔法陣の力で加熱するので、魔力で作れる事。


 見た目的にも国軍っぽさが受け

 1年生はポン菓子に砂糖で甘味をつけたものデフォルトを。

 2年生は醤油も使った、砂糖醤油味のポン菓子を。

 3年生はポン菓子に少々豪華にデリシャスビーフの乳を使った

 アイスに混ぜたパフアイスを。


 どの学年も使う、と言う事になり

 他の呼ばれた屋台との一線を画す事にもなり

 売上は順調だったらしいですよ?


 多分パフアイスが勝つんだろうなぁ…。

 秋と言っても中々に暑い中、流石3年と言うべきか。

 なんとポン菓子でコーン部分を手作りして

 そこにパフアイスを乗せるという

 私も思いつかなかった発想でしたから。



 ただ想像の斜め右を遥かに超えた。

 大砲を使って、お菓子を作ると言う点もそうだけど

 この珍しい作り方に商業ギルドは食いつくし

 商人も食いついて、作り方だの魔法陣だのを

 教えろと聞いてくる始末で

 ついには国兵が大砲の回りを監視することにまでなった。


 特許?

 と言うか国軍科らしい出店用なんだから

 そんな事言ったら、次から使えないじゃ無いですか。

 上級学校に全部丸投げですよ。


 それに今回はお米を使っているけど、穀物なら

 大半で作れるし、水分の無い乾燥しているものなら

 適度に湿らせれば良いのだから

 この国でも多く作られている小麦に大麦に蕎麦。

 トウモロコシでも作れると言い、特にトウモロコシなんて

 塩バターとか最高じゃないですか?

 レシピも全部学校に丸投げしましたよ……。


 まぁ大砲を使う時点で、作れるのなんて国軍くらいですから?

 悪い方向には行かないと思うんですけどね…。





「で、お前は反省中に何故『大砲菓子』を食っているんだ…?」

「味見?」


 試作で作ったチョコパフとか、キャラメル味のポン菓子を

 堪能しつつ、観戦していたら頭に拳が落ちてきましたよ…。

 あとお菓子はボッシュートされました…。

 まぁまだあるから良いけど…。


 ちなみにどちらも試作止まりです。

 何故ってとんでもなく高くなるからですよ…。

 気軽に食べられない菓子に価値など無い!

 ポン菓子は庶民の味で、食べ物ですから!


「セッカ、お前の出番だろうが。早く行け」

 やっと解放される。

 そう思った矢先だった。


「残念な事に、足が痺れて動けません………。」

 チートな能力があっても、ここは鍛えるのはちと難しかった…。


 ギリギリで正座から解放されて

 競技で役に立つ訳も無く……。



「おっと、どういう事でしょうか!?開始と同時に

 国軍科の生徒が倒れました!!救護班が駆けつけます!!」


 はい、私自身は不戦敗です。

 ちなみに参加予定だった競技は「玉転がし」でした。

 実はこの玉、総鉄製でとんでもなく重いのです。

 私の重量魔法が無いと、まぁ転がる訳も無く…。


 と、思ったけど流石国軍科。

 力で押し始めるという荒業で押したけど

 魔法科による、重量魔法での軽量化に勝てず3位。

 

 ちなみに2位は冒険科による【地形(テレイン)操作(オペレーション)】の魔法での

 移動によるものだった。


 あと他の科は、磁力だったり雷を使ったり

 危険すぎると判断され、その場で失格だった。





「うう、私は何もしてない……。」


「お前がふざけた上に、反省して無いからだろうが……。

 あの後のディメンタール王の話が、笑いと騒ぎで

 落ち着かなかったのも含めての罰だ……。」


「しかし!最終競技がある!」

「良いから立て。その前に国軍科総出の組体操があるだろうが…。

 また足が痺れてとか危険すぎるから痺れを取れ…。」





「うおおおおおおおおおおおおおお!?私、ここだったっけ!?もっと上だったよね!?!?!?」

「お前の罰らしいぞ?良いから耐えろ。

 崩れたら全員夕飯無いんだからな?」

「崩れたら、国軍科全員にお前殴られるぞ?」

「だからってこれはない!!」

「黙って耐えろ…。」


 私は運動会でも恒例?

 いや、近年危ないと消えつつあるピラミッド。

 その最底辺役に回されました。


「っていうか私、力無いんだけど!?」

「良いから補助魔法使って耐えろ!

 っていうか見え難いんだから誤魔化せ!」


 ちなみにこの運動会のピラミッドは逆ピラミッドである。

 つまり底辺はたった1人!

 上に行く程人数が大きくなる!

 そして学年別ですから………。


「上に何人いるか考えたくなぁぁぁぁい!!」

「うるせぇ、得意の蔦で誤魔化せ!」

「はっ!?」





「セッカ、またお前やったな?」

「待ってください!どこに1学年全員を最底辺で支える

 140センチの女性が居るんですか!?」


「140センチかどうかは知らぬが、あそこにいるではないか!」

「あの人3年生ですよね!?」

「学年はさほど関係ないだろう?」

「しかもあの人、えらいムキムキですよね!?」


 私はゴリラ、と言う言葉をグッと我慢した。

 ムキムキ、が精々だけどどうみてもゴリラだ。

 冒険科の3年生だそうです…リラ・フォン・ライルさん。

 女性です。



 しかも3年が綺麗な逆三角形を作り上げたのだけど解せない。



「3年は人数少ないですからね!?

 1年って1クラス300人は居るんですよ

 H組まであるんですから純粋に全員参加なら2400人乗るんですよ!?

 あっちは100人くらいしか居ないじゃないですか!!

 下手したら圧死ですよ!?」


「言いたい事は解る。だからと言って蔦で支えて良い訳が無いだろうが…。」

「じゃあどうすれば良かったんですか!?私に死ねと!?」

「いや、お前重量魔法で軽くすれば耐えられただろ?」

「あ……。」


 人はテンぱった時、ミスが増えるとどこかの脳科学者が言っていた気がするけど

 それを思いっきり感じた時間となり、後悔する時間となった。

 見た目の問題だそうで、重量魔法はあり、蔦は駄目なんだってさ…。


「あと、リラは何も使って無いからな?」

「やっぱ!?マジデ!?」


 すごいやご………リラ先輩!!

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