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第2話 幼少期その1

 私は5歳まで、孤児院で暮らしていた。

 5歳になると、子供達は全員が神から能力を授かる為に神殿に行き

 能力を貰い、自らがどういう人生を目指すかを

 平民でも孤児でも、王侯貴族でも違わず神殿へ行き、能力を貰う。


 ただ、私は天神様に頂いた能力があるので

 神殿に行っても、何も貰えずにいわゆる「ハズレ」扱いで終わった。


 これなら目立たないなどと思っていたのだけど

 私は身請けされてしまった。


 孤児にとっては、この時の能力次第で身請けされたりするのだけど

 私には特筆すべき能力は無い体だった。



 違った。

 私の化け物と形容されるような膨大な魔力を見抜かれたらしい。


 身請けしてくださったのは、エンデバー伯爵家の当主である

 オンジ・フォン・エンデバー伯爵、国軍の陸軍少将でもあった。


 私を身請けした理由についてすぐに語ってくれた。

 この世界には魔導車、魔導列車、魔導船に魔導飛空艇と

 魔力を動力とした乗り物もあったが

 銃器に関しては、かなり遅れていたようだった。


 現状、第一魔導銃撃隊と言う部隊が存在し

 その部隊は魔導銃と呼ばれる銃器を扱っていた。


 構造は火薬の変わりに魔力を爆発させ

 その勢いで弾頭と飛ばすもので、大砲なども

 広く世界に普及していたそうだけど、これ自体の発明は

 なんと170万年も昔のものだそうだ。


 いわば火縄銃のように、装填に非常に時間が掛かり

 陸軍はどちらかと言えば魔導銃より魔法を扱う部隊に

 重きを置いているのだそうだ。


 しかしエンデバー少将は魔導銃の新しい可能性として

 現在新式の魔導銃の開発に力を入れているのだそうだが

 いかんせん、消費魔力が圧倒的に増えるというデメリットが

 中々解消されないのだとか。


 そこで、魔力の内包量の多い人物を探すも

 そうそう居ないらしく、私に関してはどうやら

 国軍の人が、孤児院に下見に来た際に

 私が異常なまでに魔力が多い事を見抜いた事で

 私をエンデバー少将が身請けする事にして

 軍人となるべく育てるつもりで身請けしたのだそうだ。


 一瞬、え?銃の為とも思ったけどそもそもこの

 ディメンタール王国は世界1位の大国だそうで

 そもそも国軍と言っても、任務は国土の防衛などであり

 奪われれば取り返す事があっても、大義名分無く攻め入る事は無く

 どちらかといえば国土防衛や、民の安全を守るべく

 厄介な魔物の討伐に出るなどなのだそうだ。


 そして陸軍はどうしても接近戦が非常に多くなり

 死者や傷病者が多く、魔導銃の運用は

 軍人の生存率を上げるのに、必要だと言う事だった。


 まぁ、そういう事であって決して

 無駄に人殺しをしに行く訳では無い、と言う事で

 私も納得し、軍人になるべく修行をつけられたのだが………。


 普段はお爺様、と呼べと子煩悩臭いのに

 修行となると、鬼軍曹。

 もとい鬼少将だった。


 しかもここには私だけではなく、同い年の少将の孫である

 アマンダ・フォン・エンデバー令嬢。


 彼女は魔力も人よりは多く内包しているが

 特筆すべきは能力の方だった。

 しかもユニークスキル持ちである事と

 その能力が軍人向きである事、何よりお爺ちゃん子であり

 次期エンデバー伯爵の五女と言う事と、本人の強い希望で

 軍人を目指す事を許された、少々変わったお孫さんだ。


 エンデバー少将は、お孫さんであるアマンダさんも

 私も、同等に扱ってくれた。

 エンデバー家の人達も、私はエンデバーと家名はつかないが

 軍人となれば、後見と言う意味でエンデバーの家名を名乗る事になる。

 ここの違いは「フォン」が付くかどうかなんだってさ。

 付けば貴族の血筋で、付かなければ後見されていると言う事だそうだ。


 何しろ国軍の中でも目指すのは一般の部門では無いからだ。

 一般の部門だと、まず衛兵などとして国の各街などの警備や

 国営の駅馬車の護衛などを担当する事になるのだけど

 私とアマンダさんが目指すのは騎士。


 家名が付くのは、騎士になると準貴族である騎士爵をいただけるからでもある。

 後見の無い人は、自由に名乗るらしい。


 国でも王都勤続となる、と言うと聞こえは良いけど

 まぁ大抵は辺境や僻地の砦の防衛などを担当する。


 1つ上には王の直属部隊である、近衛と言うものもあるけど

 近衛は確実に王都勤務なのだそうだ。


 但し、私だけは実は条件がつく。

 まずこの世界に学校は2種類ある。

 6歳となる年から6年間通う下級学校。

 それから12歳となる年から3年間通う上級学校。


 下級学校は、孤児だろうと平民だろうと貴族だろうと王族だろうと

 全てが通う、小学校と中学校を足したような学校だ。

 但し王侯貴族は別クラスになると言うだけで

 授業内容に変わりは無い。


 そして午前中だけで終わる為、法律で通う事が定められている。

 凄い所は孤児ですら無いいわばスラムの子供などでも

 無料で通える事から、通うしそういう子供達には給食のようなものが出る。


 そして下級学校では、王族だろうと貴族だろうと

 家名を名乗る事すら禁じられている。


 誰であろうと平等である事が求められる、こういう世界にしては

 珍しい制度だと思ったら、立案と実際に下級学校を作ったのは

 転生者とか転移者の類の方々だったようだ。


 そして上級学校は、王侯貴族や豪商などが通い

 こちらは非常に高い授業料が掛かる。


 但し下級学校で、推薦を取れば奨学金が出て全額無料で通える上

 通例として、王侯貴族は基本的に奨学金制度を辞退する。


 基本的に、と言うのは貧乏男爵やら貴族の中でも

 下の方は平民よりちょっと水準が高い程度なので

 利用する貴族も居る、と言う事だ。


 当然、貴族でも奨学金を目当てにするなら優秀な成績を収めて

 推薦を勝ち取る必要がある。


 例に漏れず、私もそういう事になる。

 私が目指すのは上級学校の国軍科と言う科に入り

 3年間みっちり勉強する事で、国軍騎士試験と言うものを

 免除される事が目標になる。


 もし駄目だったら?

 国軍騎士試験を受けて、そこから騎士になる訳ですが

 この試験、とんでもなく門が狭いのです。

 合格率、僅か0.01%ほど。


 大国故に受験者も多いけど、受験資格が

 受験年に満15歳の男女、と決まっていて受験できるのは1年間に限られる。

 

 但しここに過去の国軍普通試験で、合格し衛兵となった人も加わってくる。

 衛兵になった人にとっては、昇格試験のようなものなのです。

 そして毎年、少なければ数人。多くても20人以内が合格と言う狭さで

 上級学校は卒業と同時に、自動的に騎士となるのです。


 後見されるのだから、選択肢は無く上級学校が確定なんですよね。

 むしろ後見を得るのだから、国軍騎士試験ではなく

 上級学校から国軍入りしなさい、という言わば圧力だ。


 それまでの間、この地獄が続く事の方が問題だけど………。

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― 新着の感想 ―
[一言] 170万年に驚く。設定の数字関係を整理してから物語を書いてほしいです。
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