第13話 期末試験!総員降下開始!!
今日、いよいよ期末試験開始の日となった。
部屋を片付け荷物を纏めて、預けて
あとは装備と背負袋を持って、整列し時間を待つ。
準備?私の場合心構えだけかなぁ…。
そしてついに期末試験が開始される。
レギュレーションなどについて細かく説明される。
この場所の端に、食料など様々なものが用意されているので
好きに持っていって良いが、背負袋に入る量までが許される事。
あとは学校の先生方に限らず国軍証を提示してきた人の
指示には従う事と言う簡単なものから
こういう状況になった際はといった
トラブルシューティング的なものが多かった。
その為に、照明弾なども配られた。
ただ今回の食料、これは……。
なんと糧食だ…。
しかもディメンタール王国軍の紋印が刻まれた公式品!
まぁ軍オタなら喜ぶんだろうけど…。
しかもこのレーション、やっぱりくっそ不味いんですよね。
瓶詰の酢漬けに油漬けを主体に薄切りの塩漬肉にチーズに
堅く焼き絞めたパン。
それ以外にも薪や着替えなども潤沢に用意されているんだけど
これをどう詰めていくか、がポイントなんだろうね。
私は色々と選びつつ、最後は……チーズだけで多めに貰い
水の入った革袋を1つ、制服などの着替えを受け取った。
背負い袋はまだまだ容量はあるけど、これ以上は無理があった。
何しろ、今回の試験の装備だけどショートソードや槍は
まぁデフォルトの装備なので、持っていく必要がある上
スクトゥムのような盾を持っていく必要性があった。
よく機動隊とかが持っていそうな、あの四角い感じの盾で
まぁ陣形にも使うんだけど、今回は違う用途で必要となる。
それ以上にアイテムボックスがあるのだから
現地に着けば背負う必要性すら無い。
あと話によると、まぁ鉄で出来ているので
肉焼用の鉄板になるんだけど、やりたくはない。
そして物資を受け取ったら、くじ引きのような箱があった。
「1枚、木札を取りなさい。」
そういって、取った番号は「24」。
その後24の場所に並んでいると、魔導無線機が渡された。
どうやら第24班、と言う所になるようだ。
まぁ魔力で動く無線機だと思っていただければ。
そのまま大きな魔導飛空艇に乗せられ……。
魔力で動く飛空艇です…。
そこから10人乗りになる輸送専用の小型魔導飛空艇に乗せられた。
「それではこれより国軍科1年の期末試験を開始する!
試験内容については、現時点で全員が携帯している木板に記した文。
各自、柔軟な頭脳を以ってして解読した上でその任務を遂行する事である!
この班から、最低でも1名は合格者が出る事を念頭に行動するように!
緊急時回線と、常用回線は常に開けておくように!
それでは降下開始!」
きた。
座っている座席が小型飛空艇の壁と共に後ろへ倒れていく。
この小型魔導飛空艇は強襲などに使うものであって
途中でもこれの訓練が行なわれている。
そして真っ逆さまになった所で、固定具が機体の後ろ側から外れ
順次、地面へと落下していく。
そして周囲は一面、白銀の世界。
大量の雪に覆われた雪山すら望める景色の中で
身体がどんどん冷えていく。
すぐに盾をサーフボードのように平らにし、左脚を固定する。
そして右脚もしっかりのせて直立する。
この盾は魔導具でもあり、降下用のパラシュート代わりになっている。
まぁこれが空中サーフィンみたいだからと、ふざけて遊ぶのが
授業中の常だったけど、流石に期末試験でふざける人は居ない。
何しろ、ここから何があるか解らないからだ。
いや、だって10人に1人しか合格出来ないんですよ?
しかも妨害してはいけないなんて一言も言われていない。
但し、学校の先生方に限らず国軍証を提示してきた人の
指示には従うと言われているのだから
やって駄目なら止められる、と解釈する人がいてもおかしくない。
受験者同士で、妨害行為があっても………。
と、思った途端それどころでは無くなった。
「……DT24、地表から対空射撃!総員警戒!オーバー!…」
真っ先に気がついた人が常用回線で警告を促してきた。
これは酷い。
弾幕の如く、地上から対空射撃が始まった。
まだ木札とこの魔導無線機から今回の試験内容も
解読してないから、ここで争うのは流石に居ないかー。
割り切って、班行動へと知らない全員が
頭を切り替えていった。
うん、知らない人ばかり。
多分他のクラスだろうけど、人数多いからあまり遭遇しないし
装備で余り顔も見えない。
そして地上からは、何かが大量に飛んできているんだけど
おそらく無属性魔法を連射しているのだろう。
実は属性魔法と、魔法の発射に携わる魔法を極めに極めると
計算上は1分間に24000発まで撃つ事が可能になる。
1秒辺り400発。
たった10人に撃つなら、十分な弾数の上
実は射撃箇所が1箇所では無かった。
1分間に10万発を超えるような、弾幕が飛ぶ空中で
私達が出来るのは今の所は、降下用の盾の裏でうずくまる位……。
「な訳ないよねぇ!?」
ここは他人様、立ち入り禁止の国有地。
試験に関係ない人が居る訳が無い、撃ってくるならそれ即ち敵!
すぐに帯剣している剣や槍を仕舞い、すぐにアイウェアと耳栓をつけ
銃を取り出す。
「何か、大気圏に突入しながら隕石を撃つミッションの気分だよ…。」
まぁ、種使いですから!!
そして構えてクルリと弾幕の中、盾と上にある身体を縦に半回転させて
盾に当たる風で、一気にブレーキをかける!
足が少々痛いけど、気にしている余裕は無い!
魔法がいくつか当たったけど、それ以上の成果をここで出す!
「いてこませ!長距離狙撃銃!『SEED―05』!!」
いわゆる対物ライフル!
素早くは撃てず、ボルトアクションもあり
いちいち種を入れないといけないので、使い勝手が01に比べれば
悪いとは思っていたけど、種自体が少々大きい球形に変わる。
その分、蔦の出る量や距離が飛躍的に増える。
逆さまになりながら、対空射撃をしてきているポイントへ
1つ1つ、種を撃ち出していく。
この時、ドンッ!とか大きい音はやっぱりしない。
プシュっとか、どこの空気銃と思うような音くらいしかしないから
これをやっている相手も、まだ高度があるから気が付き難い筈。
そして1発目がどうやら地面に到達したらしく
1箇所、対空射撃の魔法が一気に途切れた。
「もういっちょ!」
しかし2箇所目に撃った後には、他の箇所から
私を狙うように、魔法が飛んで来た。
今回はトラブルやイレギュラー時に応援を呼ぶ緊急回線と
いわゆるオープンチャンネル的な常用回線の
2つだけに利用が搾られている。
下手な使い方をすると、この対空射撃をしている相手にも
全てが漏れる訳で…。
周囲が散開し、盾を縦方向に回して
空気抵抗を減らして、一気に地表へと落ちていった。
弾幕の無い方を選択肢、皆一気に落ちていくのは
私にヘイトが集まったからだろう。
「だからと言って、助けを期待出来る状況じゃないよねっ!」
私は2箇所目を潰した後、残った対空射撃の出場所に盾を足で向けて
集中砲火を盾で防ぐ事にした。
ただやはり落下しながらなので、どうしてもある程度
魔法が身体を掠っていく。
盾は対魔法用の魔法薬が塗られているので
降下し終わるくらいまでは持つとは思うけど
ここまで集中されると、塗装部分が剥げていくのだけが懸念だった。
「みっつめー!」
3箇所目を潰すも、まだ3箇所ある。
ただこのままだと集中砲火を受けたまま、着地体勢が取れない。
周囲は無事、着地体勢に入り
人によってはもう降りきっている。
この盾の魔導具の力で、無事に着地するには
最低でも50メートルの高さがないと間に合わない。
このままだと、魔法に当たりながら
降下する事になるのと、実はこの盾は横からの衝撃に弱く
魔導具部が露呈する事で、そこに当たれば真っ逆さま。
つまり、地面にそのまま叩きつけられる訳ですけど…。
「まだ切りたくないカードだなぁ……。」
実は空を飛ぶ方法を持ち合わせているのですけど
1年の期末試験で見せるような手札では無いと言うか…。
出来れば騎士になるまで隠しておきたいんですよね……。
「仕方無い、こっちを使うかな…。」
私は自分の落下地点へ向けて
種を次々発射していく。
落ちた種は地面で蔦へと変わり、大きな風船型になっていき
私はそこにボスン、と落ちた。




