まったく不甲斐ないですわね!やってやろうじゃないですの!
私は、いえ、「わたくし」は思い出しましたの。己の本来あった在り方を。
しかし今更思い返そうが栓無き事。現在のわたくしの置かれている現状の方がきっと波乱万丈ですもの。
ゲーム(物語)のキャラクターであったことには驚きはすれど、何もかもが現実なのですから受け入れるしか無いですし。
「わたくし、どうして苛められているのかしらね」
改めて現在の魂である、田中まことについて振り返ってみましょうか。
人畜無害なコミュニケーション能力の低い卑屈な性格。まあまあ、正統派なヒロイン力としては激低な立ち位置、スクールカーストの中でもかなり低いほうなのはまこととしては理解して納得し落ち着いている。
わたくし、乙女ゲーみたいな格ゲー「王妃様の行く末」の悪役令嬢モニカ・レティシアンナからすればほんっとうに嘲笑以外の何ものでもない少女が、高校生女子であるわたくしのいまの姿なのでした。
何事も穏便に虐げられていれば後は耐えるだけで良いなんて、バカみたいに思っていましたわね、本当に救われないバカだと自分でも思いますわ。
なにもかもから逃げているだけでしかありませんもの。いえ、そうでないと苦しくて仕方がない者は当たり前ながら存在するのはわかっていますわ?
だからといって自ら苦行を受けにいくなんて、わたくしが出てきたからにはそんなこと許しません。
「……苛められ始めたきっかけすらわからないなんて、いかに己に無関心だったのかが手に取るようにわかってしまって絶望だわ」
前途多難の幕開けですわね…。