俺、転生する。
はじめまして。
はくすいRと言います。最近転生ものが多いのですが、どれも明るくて最強パターンが多いので、今回は私がイメージする、転生ものをつくりました。ぜひご覧ください
俺が高校1年の春のこと、それは休日だった。
俺はテレビを見ながら、今うちの学校で流行って
いる、転生ものの漫画を見ていた。
「俺も転生したら魔法が使えるのかな」
そんなつまらないことを1人でブツブツと喋っている時だった。
いきなりテレビの放送が変わった。
「えー。臨時ニュースです」
「なんだいきなり」
俺が焦るのも仕方がない。なにせそのアナウンサーがとても冷静な顔ではなかったからだ。
「政府が今年から、他世界の交流、情報提供のため」
【異世界転生が職業として生まれます】
俺は一瞬耳を疑った。
異世界?転生?そんなのがこの世界にあるわけがない。
しかし、それが本当なのは、のちのち分かることだ。
※
そして1年が経過した。
俺は相変わらず、普段の生活をしているが、俺の知り合い、友人は、あのニュースを見て皆がすぐに(転生者)になった。
それは俺らの周りの奴らでは収まらないほどに
"それ"は人気だった。
俺は友人から誘われたが、俺の中ではまだ疑問が残っていた。
結局、俺は転生者にならなかった。
それは俺にとっては良かったのかもしれない
そう思った。
あの日が来るまでは。
初めての転生の日、俺は3年前から交際している蕾と異世界転生所に向かっていた。
「どうしたの?やっぱり心配?」
「そりゃ、そうだろ」
「いくら帰国できるって言ってもな・・・」
蕾は俺の事を苦笑しながら見ていたが俺は、本当に心配なんだ。
「大丈夫だって異世界に行ったら連絡する」
蕾は俺をからかうように言う。
「異世界には現世界の持ち物は禁止だろ」
この世界の持ち物を持って行ってはだめらしい。
それは正しい判断だろう。
もしもスマホなんか持って行ったならばこの世界より文化が遅い所からすれば、未知なものだからな。
※
蕾は、小さなガラス張りのケースに入っていく。
こんなので本当に異世界なんていけるのか。
「じゃあ行ってくるね」
いつもは笑顔で見送ってくれる蕾が、今日はなんだか、寂しそうに笑っているように見えた。
「ああ。またな」
俺はそう言うと、ガラスのドアを閉めた。
蕾の下にある羅針盤が、赤く光った。
それから
【蕾は帰ってくることはなかった】
蕾だけじゃない、その日転生した人すべてが
返ってこなくなった。
政府は一時的な機械のエラーらしく、それは転生者にも伝わっているらしい。
しかし、それから2年、地球に帰ってくることは
なかった。
※
とうとうこの時が来た。
それから1年が立ち、今俺は転生教習施設に来ている。
政府は転生者救出のために、半年前に5千人の
元転生者と、政府が選んだ5千人の志望者から
体力試験、技術試験など様々な試験を終え、
5人まで絞られた。
俺はあれから、蕾を異世界から出すため、
転生者になった。
「親鸞様で宜しかったでしょうか?」
ここの関係者らしき男が声をかける。俺はいまから転生する。
臆病な俺は友人の誘いを断ってまで転生者にならなかったのに、いまさら"これ"になるなんて、
「ええ、そうです」
そう言うと男は俺のことを誘導しながら見慣れた
ガラス張りのケースに入る。
「準備が出来次第おっしゃってください。」
そうだ、俺はもしかすると、もうこの世界に戻って来れないかもしれない。
それでも俺は蕾を助けたい。ただそれだけだ。
身体の震えを抑え、心の準備をする。
「・・・お願いします。」
俺は目を瞑る。
「では、お達者で。」
男はスイッチを押すと、身体が急に軽くなった。
俺、転生する。