表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
九十三日の幻、永遠の約束  作者: 吾川あず
【第二部】逡巡
65/106

【第四章】サンクオリア(三)

今回は章の構成上、かなり短くなってしまいました。

 宿の裏には山々が連なり、少し寂しい感じがした。時折吹きつける冷たい風が頭を冷やしてくれる。

 壁を隔てた隣には足湯があるらしかった。先ほどから人の気配はない。たまに湯の落ちる音がするくらいで、あたりは静けさに満ちている。


 クロノは嫌な気持ちだった。もちろん、そらに対してではない。また、赤髪の男に対してでもないように思えた。明らかに自分に対しての嫌悪感である。

 そらが襲われた時、表には出さなかったが、どこかおかしな気持ちになった自分がいた。

 そらのことは好きである。

 俺のために生きてくれ、と魔女の家で言ったのは嘘ではない。そらがいなければ本当に困るのだ。自分もそらのために生きたいと思った。


 でもそれは、男が女を思うような気持ちではない。ただ、人として、友として、好きなのだろう――そう自分に言い聞かせていた。でなければ、この関係がおかしくなってしまいそうな気がして、怖かった。

 しかしあのとき、はっきり感じた。自分はそらと繋がりたいのだと。


 いや、そんな綺麗なものじゃない。

 普段は少し生意気で、でも真っ直ぐな目をして好きだと言ってくれる少年。女を――男は尚更、知らない身体。そんな彼が初めて見せた、あの苦し気な表情。


(最低だな……)


 そらを女のように抱くのは、違うような気がした。

 ぽちゃりと音を立て、鼻先まで顔を沈める。サンクオリアには源泉があり、温度もよく、気分さえ沈んでいなければとてもいい湯だった。




 長い風呂を終えて、部屋に戻ると、そらは既に布団に入ってこちらに背を向けていた。

 先に寝てしまったようだ。


 息を大きく吐いてクロノも横になったが、既にそらの疲れ切った寝顔で目が覚めてしまっていた。

 寝転んだままそらの頭に手を伸ばす。とても神聖なものに触れるような思いで、少し乱れた髪を梳かした。



ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

次回から新章に入ります。《闇の方》の過去や、彼の元から去らないコガレの本当の思いが明らかになってきます。


次回【第五章】追手(一)は 来週(未定) 投稿予定です。多忙により更新が不定期になり申し訳ありません。

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ