二人の晩餐
ーーアベルは目を開けた。
眠っていたのだろうか?
目の前には知らない天井が一面に広がっていた。
「おはよう。貴方昨日あんなところで寝てるんだもの
本当困っちゃったわ」
その天井が広がる部屋の扉の方から声がした。
その声のする方を見ると、そこにはエイミーがいた。
「あっ!ごめん!!
エイミー寝る所あったか?? ごめんっ!!」
アベルは謝る。
「いいのいいの!大丈夫よ。
それより………朝ごはん一緒に食べない?」
「いいのかい?」
アベルは問に問で返す。
「誰かと………食べたいの。」
エイミーは寂しげな表情を浮かべた。
それからアベルはキッチンにある
小さな丸いテーブルの前に座ると
エイミーがすぐにそのテーブルに
焼きたてのパンと今朝絞ったぶどうのジュースを置いた。
「いただきまーす!」
アベルはパンを口に入れる。
お腹が空いてるせいなのか馬鹿に美味しく感じる。
少しがっついてパンを喰らい飲み込むと
喉に少しつっかえた様な感じがして、アベルは
ぶどうのジュースを飲み干す。
喉が乾いていたせいなのか馬鹿に美味しく感じた。
「すっごくうまいやっ!」
アベルはそうエイミーにそう言って笑った。
「私も今日はなんでかわからないけど………
とっても美味しいわ。」
エイミーもそう思っていた様だった。
「アベルも何時も独りでご飯食べてるの?」
「なにしろ旅人の身だからさ
なかなか誰かとは………食べないかな?」
「私、父さんがいなくなって以来なの」
………アベル?私
やっぱり父さんを蘇らせるわ。
今日の夜にやろうと思うの」
エイミーはそう言った。
アベルはエイミーに何もいう事が出来なかった。
アベルは自分に止める資格は無いと思ったのだった。
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