アベルの過去 その1
「過去に何があったの?」
エイミーはアベルに聞いた。
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アベル=フラメルが錬金術で禁忌とされる
『姓名概念の操作』を行ったのは八年前の事だった。
アベルには父と母と兄がいた。
父 ニコラ=フラメルはアルケミストの権威として
知恵の宝玉 "賢者の石"の錬成の研究をしていた。
そして数年の時が経ち、ニコラはついに
"賢者の石"の錬成に成功した。
ニコラはすぐに中央錬金術師協会へ論文を提出し、
偉大なるアルケミストとなった。
しかしその"賢者の石"を狙うものがいた。
ーーある夜の事だった。
アベルと兄 カイン そして父のニコラと
三人で夕食をとっていることだった。
突然玄関の扉が燃え、蹴破られた。
そう"賢者の石"を狙うアルケミストらの奇襲である。
アベルはその時カインに床下へと隠された。
ドタドタと争う音が床の下から聞こえていた。
しかしそれがピタリと止まった。
アベルは恐る恐る床下から出る蓋を開けると
兄のカインが倒れていた。
「カインっ!カインっ!!しっかりしてよ!!」
「ア………アベル………。
世界を………救えるのはお前しかっ………
いないっ!!」
カインは今にも消えそうな息を必死で声に変えて
アベルにそう伝えた。
「カインっ!嫌だぁぁぁっ!
ずっと………ずっと一緒にいようよぉぉぉぉ………。」
「ヒ………いいか?………アベ………ル」
カインはアベルを呼ぶとカインのおでこに手を当てた
するとカインの手が青白く光り輝いた。
「つよ………強く………なれ………よ………」
その光が消えた途端にカインのおでこに当てていた腕は
力が抜けていき地面に叩きつけられた。
「カイン?カインぁぁぁぁぁぁっ!!」
ーーカインは死んだ。
ニコラはあの襲撃の夜以来行方不明となり
カインの葬式も来なかった。
アベルは何とかしてカインを取り戻したかった。
錬金術はそういう事も可能だとニコラから聞いていた
だからニコラの錬成部屋に置いてある文献や
ニコラの論文を何年も何年も読みあさった。
ーーそしてカインがなくなって数年後
アベルは『生命概念の操作』を行う
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