32話・お願い。ユミルとわたしを結びつけて
「いやあああああああああ。止めてぇっ。ユミルっ」
そこへ陽だまりのような存在が駆けこんで来た。
「オリナっ」
目を見張るユミルのもとへ、ディークを押しのけるようにしてまっすぐに彼女が飛び込んで来た。
「どうしてここへ? オリナ?」
「ディークの様子がおかしかったから、あとを付けて来たの」
そう言いつつ、オリナは何事か呟き手のなかにあるものを取り返した。
「ユミル。ユミル」
「オリナ」
すがる彼女を抱きしめるユミルに、刺す様な視線が突き刺さる。
「ユミルから離れろ。オリナ」
「嫌っ」
オリナはユミルの腕から抜け出すと、彼の前に盾のように立った。
「ユミルに何かしたらわたし、あなたのことを許さないわ」
「そいつから離れるんだ。オリナ。そしたらおまえには気害を加えない」
「いや。離れない」
「オリナ。父神さまは本気だ。きみの身が危ない。ぼくは大丈夫だから離れるんだ」
ディークと対峙するオリナを心配して、ユミルも離れる様に促したがオリナは首を横に振った。
「いやよ。あなたから離れるなんて出来ない‥」
「オリナ。俺を怒らせるな」
最後通告のようにディークが言って来たが、オリナは動じなかった。そればかりか腕を振り上げ言った。
「伸びよ。ムチ。わたしとユミルを縛りあげて」
その行動にオリナがユミルに飛びついて来た時に、茨のブレスレットを取り戻していたのだとディークは気がついた。
「オリナ なにを?」
「お願い。しっかりユミルとわたしを結び付けて」
彼女の行動に驚くユミルにオリナはしがみついた。茨のブレスレットはオリナの願いを叶えるべく、どんどん蔓が伸びて太いロープになり巨木に捕らわれているユミルと、それにすがるオリナとを縛りつけてゆく。
「オリナ」
それを見てるしかないディークの目の前で、巨木は蔓に巻かれてゆき、ふたりの姿は蔓に覆われて見えなくなった。
「オリナぁああああああああああ」
ディークの絶叫が森に響き渡る。しばらくすると森は静寂な時に飲み込まれていった。




