サークルメンバー
その日俺はいつも通り部室に来た。そこには部長の成明がいた。
「おや?今日は早いんですね。幸助さん」
いい忘れていたが俺の名前は幸助。どこにでもいる普通の学生だ。
「早く講義が終わってな」
「そうだったんですか」
成明は誰に対しても何故か敬語を使ってくる。本当は俺より年上なんだ。いつの日か何故敬語なのか聞いたことあったが成明は教えてくれなかった。まぁ彼なりの事情があるんだろう。
俺は席に座りさっきの講義でメモしたことをノートにまとめることにした。他にすることもなければ成明と話す内容もない。
しばらくして、今度は広人が入ってきた。
「ひゃっはー!広人の登場だぜ!」
広人はいつもうるさい。そして、チャラい。しかし、頭は賢いらしい。見かけによらないな。
「広人さん。ちょうどいいところにきました。あなたに聞きたいことがあるのでこっちにきてくれませんか?」
「おぉ!いいぜ」
成明と広人は高校からの仲らしい。何故この二人が仲良くなったのか気になるが、俺には関係ないことだし聞かなくていいかと思っている。
しばらくして、また二人きた。
「ごめんなさい。少し講義がびいてしまって」
彼女は美香。俺と同い年で同じ高校だった。そして、大人の女性という感じである。
「いいですよ。そういうこともあります」
「ごめんね」
そして、さっきから美香の隣にいる物静かな女性は莉音。
彼女がしゃべることは余りない。必要なことしか話さないためよく俺でも知らない。
そして、最後に来たのがあの日出会った彼女。由岐だ。
由岐はなんというか…うざい
「なによ!」
「ん?」
「私がうざいって」
「そんなこと言ってないぞ」
「言った!」
しまった、口に出てたのか。これはめんどくさいことになったな。なんとかして言い訳を考えないとな
「うざいってのは由岐のことじゃない。広人のことだ」
「え!なんで!」
広人は驚いていた。悪いな、広人。
「なーんだ。良かった。」
「俺はちっともよくねーぜ」
広人は理解してないようだが、許してくれ。
まぁその後は何事もなく時間は過ぎたが部活終了間近のとき、いつもと違うことが起きた。
俺と広人と由岐以外は皆先に帰っており、帰る準備をしていたころだった。
「ちょっと私トイレ言ってくるね」
「あぁ」
由岐はお手洗いに行った。そして、今この部屋には俺と広人しかいない。
「やっほー。さぁ帰るぞ!」
「お前、今日はテンション高いな」
「なんていったって、俺に彼女ができたからさ☆」
「はあ!」
こんな女ったらしのチャラ男と突き合いたい女子がいるとは。意外だな。
「実はもう来てるんだぜ」
「は?」
「朱音ちゃーん」
俺は後ろを振り向いた。そこには綺麗な赤髪の女性がたっていた。いつの間に来たのだろうか。俺は気づかなかったな。
「さぁ帰ろうぜ」
「うん!」
純粋そうで可愛らしい女性だった。由岐とは違うな。だが、彼女には妙な感じがした。何かわからないけど嫌な感じが。
そして、二人は楽しく話ながら部室を出ていき俺は一人になった。一人で由岐の帰りを待つ。その時美香が入ってきた。
「ん?どうしたんだ?」
「忘れ物をしてね」
「そうか」
そういうと美香は机においてあったスマホを手にとった。
俺は思う。スマホ忘れるか?っと。
「ねぇ、幸助くん」
「なんだ」
「由岐のこと。ちゃんと見てあげてね」
「ん?なんだよ、それ。ちゃんと見てるだろ?」
「そういうことじゃないんだけど…まぁいいわ」
そういうと美香は部屋を出ていった。彼女が何を言いたかったなか当時の俺は理解していなかった。
そして、入れ違いに由岐が戻ってきた。
「ごめんね。じゃいこうよ」
「はいはい」
誰しも隠したい一面を持っている。だとしたら彼女にも俺が知らない一面があるってことだ。あの日彼女が泣いていた理由を今度真面目に聞いてみようか。
このときの俺はまだしらなかった。もうすでに運命の歯車が回りだしていたことに