全ての始まり
ある雨の日、俺は塾帰りに公園をよった。
そこは俺にとって思い出深い場所なのだから。
もうすぐ、高校受験。
だからこそ、俺はここに来たのかもしれない。
しかし、俺は公園に着いて驚いた。
人がいるのだ。別に公園だからいるのは当たり前だが今は午後10時30分。
こんな時間にはいつもここに人はいない。
別にいてもいいんだが俺が驚いたのはそこじゃなかった。
泣いていたのだ。
傘もささずにただ立ちすくんでいたのだ。
いつもの俺ならこんな人を相手にしない。俺は面倒ごとはごめんだからさ。
なのに、この時の俺は何故か彼女を助けないと行けない気がした。助けないと大変なことになるんじゃないかと。
そして、俺は泣いている彼女に声をかけた。
「何してるんだ?風邪ひくぞ」
しかし、彼女は何も反応したかった。
雨は朝方までやむ気配はなかった。
だから、俺は彼女に傘を貸してやろうと思った。
「傘、貸してやるよ」
「…え?」
彼女は少し考えて不思議そうな顔をして俺に返事をした。
まるで、その顔はなんで私なんかにという感じに。
しばらく、考えた後彼女は遠慮がちに俺の傘をとった。
そして、俺がその場を立ち去ろうとした時彼女は俺にこう言ってきた。
「ありがとうございます」
その後彼女とは高校で再開した。まさか、会うことはないだろうと思っていたので驚いた。
そして、俺は彼女と友達になり、何気ない高校生活を過ごした。あの日、なんで彼女が泣いていたのか気になって聞こうと思ったこともあったがやめておいた。きっと彼女から言ってくれる日が来るだろう。
そして、大学に入り読者同好会というただ本を読むだけのサークルに彼女の誘いで入ることになる。俺は本はそんなに好きではないが、彼女に無理やり入部させられてしまった。部員は少なく全員で6人だ。
俺は何一つ変化のない平和な日常が続くと思っていたんだが、ある日運命を変える出来事が起こる。
それが、俺の人生をも変えることになるなんて、あのときの俺は想像もつかなかっただろう。