3話 狼の気持ち
この世界の名前はアルカイン、剣と魔法の世界だ。6大陸あり、街なみは旧ヨーロッパ風だ。その大陸の一つスリーク大陸にある王都、エスパナ。おそらく世界で二番目に大きくて、二番目に栄えている微妙な国だ。その隣にエスパナの10倍の広さを持つイクミスルと言う巨大な森がある。その森に三体しかいないと言われている伝説の魔獣の一つアクプスロム通称、漆黒王狼。しかしそれを見たものはほとんどいない。見たものは生きて帰ってこないと恐れられていたからだ。
俺、アクプスロム通称漆黒王狼はのんびりと人間を食っていた。今回来た人間は100年に一度の人材らしい。そいつがたくさんの兵隊を連れ、ここイクミスルの中心に来た。と言うか俺の家だ。そいつは弱かった、足元にも及ばなかった。弱すぎてイラついた俺はそいつを食い兵隊等をすべて殺した。弱い奴のそれ以下は食う気にも慣れない。
赤く染まった俺の家の周りを魔法で元に戻して寝た。食べては寝る生活をかれこれ500年続けている。人間との戦いが楽しかったりするのでそこまでつまらない生活ではなかった。
朝を迎えてた俺は近くに人間の強い気配を感じだ。昨日の生き残りかと思ったが、確かにあの時は周りには居なかったはずだ。この森の中心に行けるのには急いでも3週間はかかる。なのにそれが突然現れたのだ。もしかしたら強敵かもしれないと思って、その場所に向けて走った。
俺は大きなショックを受けた。
目の前には5歳にも満たない小さな人間の子供がいたからだ。
(これのどこが強敵だ!俺の期待を返せ!)
怒り狂って思わずその子供に思いっきり威嚇と威圧を放った。人間の大人だったら気絶か、悪ければ死ぬものだ。
しかしその子供はピクリともせず、表情を変えずにこちらを見るだけだった。その真っ黒い瞳で。
(なッ⁉︎何故だ、何故お前は何の反応を見せないのだ。)
その子供からは恐怖や怖気は一切感じ無かった。威嚇と威圧を止め人間の言葉で話してみた。
「そこのガキ、お前は何者だ。」
しかしその子供は何も答えず俺を見る一方だった。
「おい、聞いているのか!」
何を言っても同じだった。(流石にここまで小さいとまだ喋れないか。しかし、このこの子供はどかっから来たのか。)聞きたいが喋れないのでは話が出来ない。とりあえずこの場から去った。
その後の夜、あの子供はその場所から動いてはいなかった。魔物達はその場所から逃げるように移動してた。それはあまりにも不自然だった。夜は魔物達が活発になり人間を襲って食うのに、あの子供には襲ってどころが近ずきもしなかった。やはりあの子供は異常だ。
ふと、あの子供の目を思い出した。生きた感じがしない冷たい目だった。その黒い瞳に飲み込まれそうで、この俺ですら恐怖を感じてしまった。
あの子供を見つけから2日目朝が来た。子供はいつもの場所にいた。大きな木の下で横になっていた。こちらに気づいたが目線を空に戻して目をとじた。
「お前は本当に何者なんだ。この俺の目の前で寝るなんて食ってしまうぞ。」
と言ったがもう寝たようだ。まるでどうぞ食べくださいと言っているみたいだった。
腹が空いたので俺の果実の森で果物を食べていた。
(そういえば、あの子供あそこから移動していないと言うことは何も食べていないのか。あとで届けてやるか。)
ここまで考えて気づいた。俺はあの子供に食べ物を分けようとしたのだ。何の力もない子供を助けようとしたのだ。いつもだったら人間の子供だろうが赤ん坊でも殺しているのに。いつの間にか俺の知らないところで自分が変わっていりことに不安を感じだった。
「だぁーーー!何やってるんだ、俺は!」
なんだかんだ唸って暴れていたが結局あの子供のそばに果物を置いてしまった。
俺は久しぶりに夢を見た。あの子供が俺があげた果物を美味しそうに食べているところを、俺はそれを嬉しそうに見ていた。しかし子供は手に取った果物を落としてどこかに立ち去ろうとしていた。その手を掴もうとしたがもうそこにはいなかった。
「ッ⁉︎………………はぁーー」
夢のせいで嫌な汗をかいた俺だが、なんだか現実味を感じていた。とても嫌な予感がた。心配になってあの子供の気配を感じだ。しかし、その子供の生気が弱々しく消えかかっていた。