一話 森の中で
太陽?が頭のてっぺんに登っていた。森の中は少し明るく鳥のさえずりが聞こえてくる。そのんな中で一人の子供がぽつん、と立っていた。
「…………」
人形は読んだ本の中にはラノベも含まれている。なので、すぐにトリップしたことに気づいた。部屋に出てきた魔法陣みたいな物は恐らくこの世界の住人がやったのだろう。召喚された理由は分からないがきっと国が戦争で負けそうだとか、魔王が攻めてくるとかだ。
周りを見たがやはり見たこの無い植物や虫などがいた。3メートルを超える蝶や、木の蔓がスルスルと小鳥を捕まえて食べていたり地球では見られ無い光景があった。
そしてこの世界に来た所為なのか、人形にある能力が備わっていることに気がついた。
この能力は簡単に言えばゲームのセーブボタンだ。人形の時間の流れに印を付けて、死んだときその印の付けた時間に戻ることが出来る。そしてその印が人形の赤ちゃんの時間に付けられていた。
人形はすべてを悟った。何度も人生が繰り返しているのが、この能力のせいだと。なぜそれが発動して印が付けられているのか分からないがそんなのどうでも良かった。ただ、そのセーブ能力が人形の人生を壊したのだ。その事実だけは変わらない。
人形は自分の時間にある印を外した。
(これであとは死ぬだけだ。)
早く死にたかったが、色々問題があった。まず、人形の体が幼くて出来る範囲が狭い。力が弱く木に登って落ちことが出来ない。それに周りには木しかなく、鋭利なものや、ロープも無い。残った死に方は餓死か魔物に食い殺されるかだ。
周りには生き物の気配はないが、夜になれば現れると思う。
でも、待たなくても良いかもしれない。何故なら目の前に真っ黒い狼が口を開けていたからだ。