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夜空のキャンバス。

作者: 馨。

短編書くのは楽しい。

僕には、小さな秘密がある。

いや、あったと言う方が正しいかな。

そんな日々の物語を風の吹かないこの晴れた夏の蒸し暑い日に思い出す。


8月2日(水)

蒸し暑さに思わず目を覚ます。

真っ暗の中手探りで時計を探す。

「あった。」

その時計の上にある横長の突起を押すと

モニターが光り、現在の時刻が表示された。

3時12分。

真夜中だ。

まだ、陽は出る気配を見せない。

ただ、この夜という空間には僕と時計と鳴く虫だけが存在するような…

そんな、無を感じさせるような空間だった。

少し、ぼーっとしてから、あまりにも蒸し暑かったもんだったから、ベランダに出て空を見た。

夜空の画用紙。

星が煌めく。

自分がちっぽけに見えてしまうこの広い夜空。

理科の授業で習った星座を探すけど、見当たらない。

その時だった。

一筋の光が夜空に白を描いたのは。

僕はその時見た。

流れ星を。

だけど、それはテレビで見る流れ星では無かった。

こっちに向かって来ているような。

いや、「ような」ではない「来ている」

どんどん近づいてくる。

「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!」

白色の光に飲み込まれ、前が見えなくなる。

何かに吹き飛ばされそうになり、思わずカーテンを掴む。

だが、そのカーテンも虚しく引きちぎれ僕は家と一緒に吹き飛ばされた。

そして、多分気を失った。


目覚めと共に襲う心地の良いものではない浮遊感。

浮いていた。

下には、たくさんの光が見える。

ほとんどが止まった光だが、なかには動く光もある。

そして、気づくあれは、『街』だと。

だけど、それは星に比べれば汚ない光だった。

そして、自分は空に浮かんでいるということを理解した。

さっきから何が何だか分からない。

夢なのかもしれない。

だけど、この幻想的な今を楽しもうと決めた。

少しの間、外を眺めていた。

ネオン街は賑わいを見せ、

対象的に商店街はシャッターを被っている。

だが、やはり夜空はそれを上回って綺麗である。

思わず、見惚れているとどこからか声がした。

そして、その声は確かにこう言った。

「人々は愚かです。

下を向き過ぎて前を向くことを忘れてしまっている。

こんなに綺麗な夜空があるのに…」

優しい女の人の声だった。

そして、ゆっくりと体が降下して行く感覚が体に流れる。

これで終わりか。

きっと、夢だったのだろう。

だけど、いい夢だった…

意識が徐々に薄れていった…


ジリリリジリリリ

騒ぎ出す目覚まし時計。

時は、6時。

(とめなきゃなぁ…)

そんな事を思いながら手でボタンを押す。

その時、僕は手に違和感を感じた。

なにか、ざらざらしたような…

布…?

布…か…どこかで…

「あ!!!!」

思わず声が出る。

朝っぱらから近所迷惑は承知だ。

そして、眠気は吹き飛びゆっくりとその手を開かせる。

昨日夢で引きちぎったカーテンの一部がそこにはあった…

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