第3話 「涙心〜なみだごころ〜」
朝の時間が終わり、みんな次の授業の準備をし始める。
「ユヅキィ〜次一緒行こう〜。」
また1時間目から移動教室で、私は準備をするのが精一杯だった。
「あ〜、ちょっと待って待って!トイレ行ってくる。」
私は教室の目の前にあるトイレに駆け込もうとした。その時。
「アキ?」
アキが鏡の前で、、、泣いていた。
「目、真っ赤だよ?泣いてたの?」
私がそう聞くと、アキは笑ってクビを振った。
チャイムがなり、私は階段を友達数名と駆け上がっていた。
「やばァ〜、遅れる〜〜。」
全然焦ってなさそうに言っているカナに短いつっこみをいれて、
私は教室まで全力疾走した。
その日は練習が1回もなくて、掃除のなかった私はサキと帰ることにした。
「ってかね、アキが泣いてたの。トイレで。」
「ええ!アキが泣くの!見たことないな〜。」
サキはアキと一緒に小学部から上がってきた子達だ。二人はそこまで深い
関係でわなかったみたいだが、お互い知っていた。
「よっぽどショックだったんじゃない?朝のやつ。」
「うん、みんなもちょっとひどすぎたかもね。」
そんなことを言って、帰りの道を歩いた。
家に着いた私は、いつものようにケータイを取り出した。
メールが2通。
1つ目はサキだった。
「今帰ったよォ〜夏休み、遊びいこ〜ね!んじゃァ!」
2つ目はアキからだった。
「今日、ごめんね。ドア閉めろみたいな、強い口調で。。。でも、
これからもガンバロォ〜 それじゃあね。」
アキのメールを見た後、私はすぐにメールを返信した。
「アキ、そこまで思い詰めなくてイイと思うよ。それに今日の朝のことは気にしてないから!
だから、頑張ろうね!」
そう返信して、ケータイを閉じた。
サキのメールには、なんとも返事を書けなかった。
だって。
夏休み、もう、私はここにいないから。