失明ってどんな感じ?
失明をする。
いったいそれはどのような感覚なのでしょうか。
私は実際に体験するまであまりぴんと来ませんでした。
と、いうか殆どの人が実際に体験せねばぴんと来ないと思います。
そして実際に失明してみるとあら不思議。
目の前は漆黒の闇に彩られた暗き世界……などではなく、
淡い乳白色に彩られた真っ白な世界だったのです。私の場合。
これは私の感覚なので他の人がどうなのかは分かりませんが、
少なくとも私にとっての失明とは、「真っ白な世界への旅立ち」でした。
まあ、私の失明なんてよくドラマとかで見る、
急な病気ですっぱりと一気になくなるというものではなくて、じわじわと、ゆっくりと、
視界が白色に侵食されていくという、何とも残酷な遣り口だったので、
「旅立ち」ともいえますし、「到着」ともいえますね。
そうやって世界が白くなったのが、今から約2年と数ヶ月前のことでした。
即ち、私はまだまだ失明体験者としては、ひよっこなのです。
そんな私ではありますが、2年以上もたてばそれなりに気付くことが出てきました。
たとえば夢です。
よく、目の見えない人はどんな夢を見るの?ってか、夢って見るの?聞こえるの?と
結構聞かれることが多いです。
やっぱり気になります?
ではお答えしましょう。
ずばり、夢は見ます。ただ、映像があるときもあれば音だけのこともあります。
これは、私が中途失明だからこそなのかなと思っていますが、あまりそういう話を友人としたことが無いので何とも言えません。でも、夢自体は見るというか、聞こえるというか、感じるというか。そういったことはあると生まれつき全盲に近い視力だった友人は言っていました。
ともかくそんな感じです。
なので、夢の中で何かを見て、目が覚めて世界が真っ白! なんだか朝からブルーな気持ち。ってこともたまにありますね。本当にやめてほしいです。あの上げて落とす感じ……。
他にもいくつかありはするのですが、なんというか、気が滅入る話ばかりなので、
また今度にしときましょう。
とりあえず失明は真っ暗になるだけではないということを覚えておいてくださいね。
ということで、このエッセーの題名は、『お先真っ白』にさせてもらっています。
次は、どんなお話をしましょうか?