黄昏
二話目です。
できるだけ、でーきるだけ暗く成らないようにー
真っ白な空間、どこか神殿のような雰囲気をかもし出した部屋。
その中央におかれた円卓とそれを囲むように配置された六脚のイス。
いま、そのイスは一つを除き、本来の役目を果たしていた。
『どうだい?彼女の様子は』
そのイスの一つに腰掛けた主から発せられた声、それは、どこか高く性別を曖昧とさせた声だった。
『ふむ、相変わらず眠りについておるよ』
返事をしたのは、老練な話し方に似合わない幼い声。
『まあ、たかが一魂を無理やり時空転移させたんだ、反動も来るってもんだよ』
続いたのは、艶っぽい妙齢の女性の声。
『ほほほ、何が楽しくて作り物ごときに肩入れするのじゃて』
こちらは、しゃべり方にあった老人の声で。
『あの人は...甘すぎる』
最後に聞こえてきたのは、幼い少女の声だった。
『確かにね...』
と、女性の声がため息をつくと、それに、同意するように、周りからも同じようなため息が聞こえてくる。
『でも、優しくはないな』
一同が、しんみりと静まり返ったところで、静かに幼い老練な声が話し始めた。
『結局、彼女は最後の駒をほおっておいたままじゃ...守るでもなく、慈しむでもなく、捨て置いたのじゃから』
『そうね、ゆだねたのか、あきらめたのか、私にはわからないけど』
艶やかな声がそれに続く。
『ほほほ、ならば、我らで最大の歓迎をしてやらねばな』
最後に、しわがれた老人の声がその場を締めた。
それは、神々の円卓、すべての世界の裁量を任された者達の集いの席。
そこで、これから現れる少年の運命が決まろうとしていた。
ちなみに、外伝なので章の幕間しか外伝を挟まない兄勇妹魔と違って、唐突にストーリーと関係のない話を挟むかもしれません。