女神の眠り
ダークサイド・ムーン
こちらは、鬱展開です。
正直、落差が激しいです。
それは、彼らが転生者と成って何回目の転生の時だっただろうか。
転生のごとに徐々に崩壊する人格、削られていく『人間』であったころの記憶。
あるとき彼は言っていた。
「いつか、俺は、戦っている相手が桜だと認識できなくなるのだろうか?」
と。
あるとき彼女は語った。
「もう疲れた、この不毛な戦いも、誰ともわからない『勇者』を殺し続ける生活も...」
そうして、彼らが互いを認識できなくなった時。
私も壊れたのかもしれない。
「お帰りなさい『導き手』殿」
白々しいまでのその声が、私の喉から出たのだと言うのが信じられなかった。
彼らの、壊れた関係を見守り続けるのが悲しかった。
彼らの、壊れた笑顔を見るのがつらかった。
だからこそ、これは、これだけは私の本心だ。
この、嘘つきだらけの私の、多分、唯一残った最後の良心だ。
「今度こそ、幸せに成るのよ、紅葉、桜」
そして、ごめんなさい紅葉。
貴方が、最後の記憶の欠片と共に私に託した願いは、かなえられそうにないわ。
と、最後の消えかかる意識の中で思い出す。
それは、彼が『彼』であった最後の日。
転生前に彼が託した最後の願い。
「末の弟を、蓮をよろしくお願いします」
と、私にお願いして来た彼。
ごめんなさい、紅葉、桜。
謝ることしかできない私を許してください。
そう、呟いた後、
腕の中で抱きかかえていた無垢な魂が、ゆっくりと世界に還っていくのを見送りながら。
私は、静かに目を-
-閉じた。
ごめんなさい、蓮。
貴方を救えない私を、許してください。
...。
きついです、序盤でかなりきついです。
opだけで正直アップアップです(泣)
でも、書きます、がんばります。
だから、応援よろしくお願いします。