もやし時間
「給料日まであと1週間か」
俺、桐山守は社会人でありながら貧乏だ。
30にもなって恋愛経験ゼロの非モテ。
結婚願望も無いし焦ってもいない。
このまま独身で仕事人間で貧乏のまま孤独死するんだろう。
だが今が満足ならそれで良い。
現在の残金は5000円。
食費や生活用品は5000円で1週間生き延びたら勝ちだ。
「当分はもやし生活かな、、、」
幸い給料日前に備えてもやしは育てていた。
朝昼晩、全てもやしだ。
「とりあえず炒めるか、、、」
俺は育てたもやしを今から昼飯として食べることにした。
「うん、安定に普通だな」
もやしに味なんてものは期待してはいけない。
貧乏人が生き残るために存在しているような物だ。
食べて死ななければそれで良い。
たかがもやしだ。
これがあと7日間続くと考えるとひどいものだ。
そのご5日が経過した。
5日間もやしで生活していた。
正直限界に等しかった。
「ちくしょー!俺は一生もやしを食うしか無いのか!」
もやしに当たってもしょうがない。
こんなことになってしまったのは自分のせいだ。
俺は大学生の頃パチンコに出会ってしまった。
その後俺は給料の殆どをパチンコに当てた。
最近、親や昔仲良かったやつに会っていない。
いや会えない。
俺がパチンコにハマった後借金をしてしまい、まだ返せていない。
みんな離れていった。
救いようのない人生だ。
だが俺を唯一見放さなかった者がいる。
それは「もやし」だ。
給料日前の日や金に困っているときでも俺を見放さなかった。
「もやし、あんたはずっと付いてきてくれたんだな」
俺はこの日泣きながらもやしを食べた。




