ミカエルの導き
4月1日。
今日から新学期。クラスメートが騒ぎ立つ2年2組の教室で咲良は一心不乱に「月刊高校野球」を読み耽っていた。雑誌には中学で鳴らした猛者たちの進学先などが載っていたが、青学に来るものは居ない。はあ~~~。咲良は溜め息をつく。そりゃそうだよね。将来有望な選手がこんな弱小野球部に来ることはまず無いわね。でも。と咲良は思う。無名でも力のある選手は一杯いる。例えば日米プロ野球で100勝100ホールド100セーブを挙げた上原浩治は高校時代などは控えのピッチャーに過ぎず、ほぼ無名だったという。能力ある選手が野球部のしきたりを嫌って、伸び伸びやれるうちみたいな高校に来ることだってある。現に今いる部員たちも皆そうだ。石井部長はあれだとしても、不破君・蛭田君・黒田君は咲良が見る限り、皆能力が有ると思う。強豪校でもレギュラーになれるのではないか。だが皆昔ながらの野球部のしきたりに嫌な思いを子供の頃にしてきてそれで青学に。人数さえ揃えば1回戦で負けるようなメンバーではないのだ。今年はやるぞ。騙くらかしてでも部員を集める。始業式の後の他の部活との部員の草刈り合戦にいかにして勝つか。手塚君に会う為のタイムリミットはあと2年。去年の甲子園には手塚君は出ていなかった。全ての甲子園出場校のメンバーを調べたがいない。一体、何処の高校に進学したのかが分からない。咲良は本気で探偵を雇って調べて貰おうと思ったが、高校生に調査費用は大金。それに殆どストーカーだと自分で思い直したのである。大阪にいるとは限らない。彼ほどの選手であれば引く手数多であろう。何処の高校?必ず甲子園に出て来る選手である。今年の夏は彼の勇姿を見れるかなあと漠然と考えていた。そんな咲良に神様のお導きが1分後に下るとは予想だに出来なかった。




