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TS転生? いいえ、元からでした?  作者: 在間 薙
二章 幼馴染の気持ち

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第三話

 ボロボロの椅子に座って、ぼうっと天井を見つめる。

 取り敢えず、物を退かすところから始めようということで、ジンと瑞希は一緒に店の中を片付けた。といっても、殆ど進んでおらず、まだ綺麗になるには程遠いだろう。

 建物の中は意外と広くて、荷物もたくさんあったが、重たい荷物は道具を使ったり、ジンが持ってくれたのでどうにかなった。


 久しぶりにこんなに体を動かしたからか、少し疲れた。

 マウントの街にいた頃のミズキは、冒険者パーティーの仕事だけでは生活が出来なかったので、暇さえあれば日雇いの仕事をやっていた。マウントの街には冒険者が多いということもあって、冒険者御用達の店が多く、その中でもよく飲食店が募集を出していたので、力仕事の経験はあまりない。


 そもそも、日雇いの力仕事というと魔物の回収作業だったり、普通の人では持つことの出来ないような、とても大きな荷物の配達といったものばかりの印象だ。

 掃除に有用な能力 (スキル)があるかは知らないが、せめて、腕力とかに関する能力 (スキル)を持った人を募集しても良かったんじゃないか。そう思って掃除中、ジンに聞いたら、「俺一人でやろうとしたら、マリに『せめてもう一人誰かを呼んだほうがいい』って言われてな。だから俺の補助的な感じで動いてもらえればいいかなって考えてたんだ」と返事が返ってきた。

 確かに、大きな物は全てジンが動かしている。多分能力 (スキル)は関係なく、素の力でやっている。

 今の身体は瑞希の時とは違って、男の体だからか、体力は意外と残っているが、疲れるのは変わりない。


(メリット、デメリット、どっちの方が大きいんだろう)


 男の体と女の体。どっちにしか出来ないこともあるし、思ったより違いがある。

 男の体はまず、基本的に女より大きい。これは個人差があるかもしれないが、大きいということはいろいろ出来ることが増える。

 ミズキの体は大きい方じゃないが、それでもそう思うことが多々あった。

 それに、体力がある。ひょろひょろしているミズキの体でも、瑞希だった時より、体力が増えている。


(もしかして、メリットばっかり?)


 まあ、現実はそう簡単には存在しないのが常だ。

 瑞希のいた世界で男だったらどうなっていたかはわからない。だけど、この世界には能力 (スキル)を元にした弱肉強食の気がある。

 つまり、この世界での瑞希は、どちらかというと弱者よりなのだ。


 ――能力 (スキル)、全ては能力 (スキル)次第。

 どんな仕事でも、使える能力 (スキル)があればそれだけで大きなメリットを得られる。だけど使えない能力 (スキル)は誰からも求められない。

 そういう人間は、頑張って就職先を探すか、日雇いなどで食いつないでいくか。

 この世界だと、結構女性にしか出来ない仕事があって、女性だとそういう人も就職先を見つけるのにそこまで苦労しないらしいが、男にしか出来ない仕事というのが案外ない。

 もしかしたら、ダジルはそんなミズキを不憫に思って今まで「銀の覇者(シルバールーラー)」にミズキを入れていたのだろうか。


 そんな事を考えていると、ふわぁとあくびが出る。

 掃除は嫌いじゃない。瑞希の時も、ミズキも、一人暮らしの部屋はいつも綺麗に保たれていた。

 だからこの仕事も意外と楽しく出来ている。開店準備とということは、さっさとある荷物を片付けて搬入していかなければならないだろう。

 

 ピコンと音がなって、腕につけた通信時計が光る。


『ミズキ、今日は何してるの?』


 キュアからの連絡だ。通信時計を貰った日から、キュアはこうして一日も欠かさず連絡を送ってくれる。

 ちょっと驚いたが、キュアは多分、自分のことを友人だと思っているのだろうと考えると辻褄が合う。

 瑞希はキュアのことを友人……というより命の恩人として考えていたが、そもそもタメ口にしようと言ったのは瑞希の方だったので、自分が察しの悪い人間だったということだ。


『短期のアルバイトをしてるよ』

『もう働いてるの? 相手は問題なさそう?』

『うん。優しい男の人だったよ。力仕事なんだけどそこまで無茶を要求されないし』

『そうなんだね』


 返信をすると、直ぐにまた返信が来る。

 瑞希の口からまた大きなあくびが出て、体をくつろげる。


『その仕事って、いつぐらいに終わるの?』

『どうだろう。多分夜になる前には終わると思う』


 一応、募集要項には午後六時半までと書いてあったが、その通りになるかは分からない。ジンはかなり抜けている性格のようで、一度動かした荷物が無いことに驚いていたり、言っていることと違うことをやったりしていた。

 想定時間より過ぎるのは日雇いの仕事だと割と日常茶飯事だし、このバイトでも、もしかしたら時間が伸びるかも知れない。


『あの、明日とか、会いたいなって思ったんだけど難しいかな』

『出来なくはないけど、いつ終わるか分からないからなんともいえない』

『……宿へ会いに行っちゃ駄目?』


 キュアのメッセージに瑞希は困惑する。


(なんで?)


 シンプルな疑問が頭の中に湧いて出てくるが、繋がる結論が出てこない。

 なぜ、キュアは瑞希に会いたがるのか。友達だから? 急にできた異性の友達に会いたい人って居るのだろうか。


(もしかして、……好き、とか?)


 何も考えつかなくて、恋愛感情を持たれている可能性が浮かんできたが、初対面の人間に好意を持ったとして、それが恋愛感情になるだろうか。

 なんでだろうと思いつつ『いいよ。終わる時間が分かったらまた連絡するね』と返事を送って、通信時計から目を離す。


(遅いな)


 いつご飯を買いに行ったのか覚えていないが、ジンはまだ帰ってこない。

 ふわぁともう一度欠伸をして、瑞希は少し休むことにした。

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