未来の生徒会長
「うん、おいしい」
喫茶店に着き、クリームがもりもりに積まれている女子高生の大敵パフェが届くと、欲望のままにバクバクとパフェを食べ始めた。
これが女子高生の食べる速さなのか? 優しか知らないから普通かよくわからないけど女子高生って甘いものは太るからダメみたいな感じじゃないんですかね。
「そういえば、昼休み会長来てなかった?」
優がパフェのスプーンを止めて聞く。
「ああ、去年からずっと勧誘をしにきてるよ」
「えー! すごいじゃん。入らないの?」
「めんどくさいからなー」
会長の話を思い出しながら頼んでいたアイスコーヒーを一口飲んだ。
「えー、入ればいいのに。私生徒会長に立候補しようと思ってるんだよね」
「え、そうなの?」
「うん。知らなかったの?」
そういえば前に夜の公園の時に少し話題に出ていたような。
「生徒会長になったら、大悟くんを副会長にしてあげるよ」
「余計なお世話です」
俺は手を前に出して、丁重に断った。
副会長って何するかわからないけど、学校の優と気軽に話せる気がしないし。
「でも私当選できるかな」
「自信ないのか?」
パフェを見つめながら小さく相談するように呟いた。ここまで自信がなさそうなのは初めて見た。
「だって、うちの高校の生徒会長って狙ってる人多いからさ」
「まあ、たしかにな」
考え込んでいる優に共感の言葉をかける。
優ほどの知名度と人気さがあれば余裕そうだけどな。
「じゃあ、恵那センに協力してもらえないか相談してみるよ」
「え、ほんと? やった!」
優は目を見開いて嬉しそうにガッツポーズを決めた。そして元気になったようにパフェを一口大きく食べる。
まあ、恵那センも協力くらいならしてくれるだろう。
「っていうかなんで生徒会長になりたいんだ?」
俺はふとそんなことを呟いた。すると優は目の色を変えていつもよりも元気のない、怒られた子供のような小さな声で呟く。
「私が考える完璧な人っていうのが生徒会長だから、かな」
優の声は確かに弱い。だが、どこか芯があって、本気でそう考えていると直感でわかる声だった。
「……そうか」
アイスコーヒーを口に運んで視線を外に向けた。沈黙が気まずい。
「そ、そういえば田中くんどうする? 優って彼氏いないっていうの貫いてきてたじゃん」
「あーまあたしかにそうだね。噂になっちゃうかも」
「……大丈夫なのか?」
まあ俺の姿は見られてないから面倒なことにはならないだろうけど、優が彼氏いないってずっと言ってたわけだし。
「え、うん。だって本当に彼氏いないだけなんだもん」
「え、そうなの? でも告白とかされるんじゃないの?」
「まあ、たまにそういうことはあるけど普通に断ってるよ?」
それがどうしたの? というような表情だ。
なんだか拍子抜けだ。彼氏いないってずっと言ってきていたのには、なんか深い理由があるもんだと思っていた。
「なんだ、恋愛したくないとかそういうことなのかと思ってたのに」
「……ふーん? 大悟くんは私が恋愛したくないって思ってたら嫌なんだ」
「俺がいつそんなこと言った」
「だって、嬉しそうにそんなこと言ってくるんだからそういうことでしょ?」
「ちゃうわ!」
思わずエセ関西弁を大きな声で出してしまった、すると優はくすっと小さく笑った。
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