突然の遭遇
「――って感じなんだよ」
「ふーん、でも佐々木先輩って俺たちが一年のころからほぼ確定で生徒会長みたいな感じじゃなかったっけ? なんで当選したらなんて言ったの?」
「俺がそんな情報知ってると思うか?」
「そういうことね」
ははは、と凛空は笑いながら声を弾ませた。
生徒会か、どうしようかな。
*
それから放課後。
俺が教室を出ようとしたとき、廊下で友達と話しながら教室に入っていく優とすれ違う。目が合うも、特に声をかけることはない。
だが俺とすれ違う瞬間――
「17時ね」
彼女は一瞬こちらをみてウインクをし、小さく。本当に小さく呟いた。
俺は誰にもバレないように、表情一つ変えず何もなかったかのように教室を出た。
そして17時。
俺は約束通り駅の改札前に立っていた。平日の夕方、学校帰りの学生で駅は混雑している。当然、うちの学校の生徒もちらほら見かける。
でも、遅い。
5分経過しても。
10分経過しても……
優はまだ来ない。スマホを取り出してメッセージを打とうとしたその時――
「お待たせー!」
背後から声をかけられて振り向くと、ワイシャツのボタンを外して、はぁはぁと息を荒げている優が立っていた。
「なんでそんな疲れてるんだよ」
「いやー、ちょっと学校で話しすぎちゃって、走ってきた」
へへへ、と笑う優にチョップを食らわせる。
「いたっ」
「走ってきたその根性は認めてやろう」
「じゃあ叩くな」
俺が先生になりきっているとツッコミが飛んできた。だが俺はそんなツッコミを気にしている暇はなかった。
服装をみると、ワイシャツのボタンが第二まで外れていて、水色の布地が見えていたのだ。
こいつは自分の容姿をというのを把握していない節があるからな。指摘しないと。
「おい、制服……」
「……え?」
俺が遠回しに指摘しても、何か変ですか? と言っているように間抜けな顔をした。
「制服はだけすぎ、女の子としての自覚を少しは持てよ……」
呆れながら直接的に指摘をする。すると優はここぞとばかりにからかってくる。
「はっはーん、大悟くんは私の、ちょーっとエッチなだけの姿に見とれてしまったのかー!」
「は……ちげーよ! お前をそんな目で見るか!」
得意げに笑う優の言葉を全否定する。だが虚しくもその否定は優からしたら言い訳にしか聞こえていないようだった。
こいつめ……
ざわざわと周りの視線が集まる。やばい、目立ってしまった。
「ほら、見ろ。周りに注目されてるじゃん」
「あ、やば、早くいこ!」
優はワイシャツのボタンを急いで閉め、俺の手をぐいっと引っ張って本屋へと向かった。
「前作がさ、最後すごいところで終わったんだよね。続きが気になりすぎて」
「いやーわかる。しかもあの主人公さ……」
俺たちは新刊の話で盛り上がっていた。優のおすすめの小説だったが、好みが似ているからか、俺もいつの間にかその作者のファンになっていた。
やっぱり優と話すのは楽しい。
そんなことをふと感じた。
「じゃあちょっと行ってくる」
「はーい」
本屋に行く前にお手洗いに行くことにした。学校から直行したせいだろう。
トイレが終わり、優のほうへと向かうと――
「あれ? 高橋?」
俺は思わず足を止める。
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