生徒会の勧誘
そして昼休み、俺と凛空はご飯を食べ終え、二人で雑談タイムをしていたところ、教室の前側のドアから、ある人が入ってきた。
「あ、すみませーん」
やべっ……
俺は慌てて机の下に頭を隠そうと必死に下げた。
めんどくさい人が来てしまった。
その先輩はクラスメイトにあることを尋ねているようで、そして尋ね終えるとクラスメイトが俺の席を指さした。
そしてトントンと足音がこちらに近づいてくる。
「……水原くん、なにやってるのかな?」
「……水原は休みです」
俺は顔を見られないように下を向きながら、声を高くしてそう答える。
先輩はその様子を見て、はぁ、と大きくため息をつきながらゆっくりと話をする。
「水原くん一旦顔を上げてくれないかな?」
俺はしぶしぶ顔を上げると、目の前にいたのは去年から知り合いの先輩、佐々木恵那先輩だった。
「今度はなんですか?」
「今回はいい交渉材料を持ってきたのだよ」
「入りませんって」
俺が即答すると「まだなにも言ってないって!」とぷんすか怒ってきた。
俺はこの人に去年から生徒会の勧誘を受けている、それも一か月に一回。
雨の日も、風の日も。ずっと勧誘を受けているのだ。
「実は、生徒会ではなんと、屋上のカギが――」
「屋上のカギですか⁉」
元気よく食らいついたのは俺ではなく、さっきから前で話を聞いていた凛空だった。
「そう! いいでしょ。だから水原くん入ろう!」
「いや、いらないですし」
「いや入っておくべきだよ大悟!」
一人でもめんどくさい勧誘が二人になってしまった。
凛空のほうを見ると、目をキラキラと輝かせながら今までに見たことがないほどに楽しそうな表情をしている。
どうせお前は天体観測で使いたいだけだろ。
「だって生徒会業務って絶対めんどくさいじゃないですか」
「大丈夫! たまに来てくれるとかでいいから!」
「じゃあ、来年入学してくる妹を絶対合格させてくれるなら入りますよ」
冗談交じりで笑いながらそう言った。
「……アニメの世界じゃないんだから、そんな権力あるわけないでしょ?」
鼻で笑いながら恵那センはそう答えた。まるで俺がおかしなことを本気で言っているかのように。
めんどくせえこいつ!
「とりあえず、俺は入りません」
「なんでよー、うちの高校の生徒会ってなると進学にはかなり有利だよ?」
「えぇ……」
迷うな、でも生徒会はちょっとめんどくさそう。
「いったん保留で」
俺が仕方なくそう答えると、恵那センは「よし!」とガッツポーズを決めた。
毎回断っていたから、初めての保留が嬉しいんだろう。
「じゃあ今度一度生徒会に見学おいでよ、仕事も思ったより難しくないと思うし」
「了解っす」
軽く返事をし、恵那センが教室から出ていく姿を手を振って見送った。
「佐々木先輩ってよく来てるけど、なんであんなに大悟に肩入れしてるの?」
「ああそれはな……」
あれは、確か去年の秋ごろ。
*
俺は放課後、掃除や先生との話で下校がいつもより遅くなってしまい、凛空はすでに帰っていて、渋々一人で帰ろうと校内を歩いていた時のこと。
「きゃっ!」
突然、女子の悲鳴が聞こえた。
振り向くと、階段で女子生徒が階段で転んでいて、プリントのようなものが散らばっていた。
校章が青、先輩か。
「大丈夫ですか?」
「え、ああ。大丈夫ありが――痛っ……」
足を見ると膝が擦り剝けて血が出ていた。俺のバッグにはもちろん絆創膏が備えているわけもない。
「一旦プリント片づけてそのあと保健室行きましょう」
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