第8話『仮面暴走!妄想空間 VS 正義のヒロイン連合』
テレビ局のスタジオは、すでに**“妄想空間”**へと変貌していた。
客席は浮遊するハートと謎のピンク霧に包まれ、床はふわふわのベッド素材。
観客の「性癖」が具現化した幻獣や美少女(♂含む)が、そこら中を駆け回っている。
「なにこれ……カオスすぎるだろ……」
俺――望(♂)、現在は望みん(♀)状態で、
裸に仮面だけの格好で原因側としてその中心に立っていた。
「止めなきゃ……でも、どうやって……?」
そのとき、俺の中に響いた声――
> 『“正義”を演じるな。お前の“本音”で、妄想を制御せよ』
「……本音?」
「下がっていろ、望みん」
バサァッと前に立ったのは、黒スーツのツンデレ執行官、ジャスティス・ブラック。
彼女の瞳は真剣だった。
「仮面が妄想を暴走させるなら、その源を断つしかない。つまり――お前だ」
「え、俺ごとぶっ飛ばす気ですか!?」
「可能性としては」
「ヒロインのやることかよ!!」
「じゃああなたは、妄想空間の中で、“正義”を証明できますか?」
「…………っ!」
そのとき、妄想が実体化した幻獣(触手ワイバーン)が、ホーリィに襲いかかる!
「くっ……この数……!」
ホーリィ・ホワイトも応戦するが、数が多い。
ついに一匹の触手が彼女に向かって伸び――
「やらせるかぁぁあああああッ!!」
ドガァァァァァァッ!!!
望みんの拳が光り、幻獣を吹き飛ばした!
その体は、全裸から変身スーツ姿へと変化していた。
白と赤のピエロモチーフ、ウエスト絞め、露出はあるがちゃんとヒーローっぽい。
「服、来た……!? なんで!?」
> 『“見せたい姿”が変わったのだ。妄想の中に、ようやく“ヒーロー”が混ざった』
仮面が語る。
「俺……本当は……カッコよく、誰かを助けてみたかったんだ。
だけど、どうせ無理だし、バカにされるし、って思って……」
「だから逃げてた。変態でネタ枠で、笑われる側でいようって――」
「でも今は……!」
バァァン!
望みんが飛び上がり、空を舞う!
「誰かのために戦いたい!!それが、“妄想”でも、“願望”でも……」
「俺にとっての――正義だぁぁぁあああッ!!」
拳が火花を散らし、幻獣が次々と浄化されていく。
「すご……やればできる子……!」
ホーリィがぽつりと呟いた。
「むしろ私より……主人公っぽいじゃないですか」
ジャスティス・ブラックも、口元だけ笑う。
「見せてもらったわよ、変態のくせにカッコいいってやつ」
「褒めてんのかそれ!!」