第7話『変態ヒーロー、地上波に乗る!?全国放送デビュー戦!』
「さぁ〜始まりましたッ! 『正義!ヒーロー★じゃんぐるTV』!」
\(スタジオ拍手 SE)/
MCのテンションは高い。観客は満員。テレビカメラが並び、光がまぶしい。
……が。
俺の格好はというと、
仮面+ネックピース+“乳首だけ☆ガード”という死にたくなるコーディネート。
「なんで地上波でこれ許可されてんの!?」
「だいじょーぶ!ボカシ入れるから!」
「逆にやめて!?際どく映るやつでしょ!?」
そう、今日は「正義ヒーロー特集」の生放送回。
ジャスティア芸能部が推す“新ヒロイン”として、俺こと望みんがゲスト出演中。
隣にはホーリィ・ホワイト(正統派清楚ヒロイン)、
そのまた隣にはお馴染み、ジャスティス・ブラック(執行官兼監視係)も座っている。
そしてMCが振ってくる。
「さぁ〜!おまたせしました!変態ヒーローこと“望みん”さん、登場で〜す!」
\(スタジオ:どよめき)/
「ちょっ!変態って紹介やめろぉぉぉぉおおお!!」
「“今ネットで最も話題の女体ヒーロー”としてバズってますよね?どんな気持ちですか?」
「泣きそうです(本音)」
「ところで、あなた……本当に、正義のヒーローなんですか?」
「うっ……そ、それは……」
スタジオが一瞬、静まる。
MCの目が鋭く光った。観客も見つめている。
「正義とは、なんですか?」
――きた。
どんなヒーローでも避けて通れない、この質問。
(俺みたいなもんが、正義なんて語っていいのか……?)
そのとき――
ズゥゥゥゥゥン……
低音が鳴り響き、仮面が再び光を放ち始めた。
> 『……語れ。お前の妄想を』
キィィィィンッ!!
望みんの瞳が、輝いた。
「俺は……!ただ、巻き込まれただけだ!正義の資格なんかない!けど……!」
客席がざわめく。
「でも!!誰かが泣いてたり、困ってたりしたら!
格好悪くても、全裸でも、助けに行く!それが……!」
――俺なりの、正義だッ!
ズガァァァァァン!!!
仮面が全力で反応した。会場に、不可思議なエネルギーが広がる!
\ ヴォオォォォ……! /
「な、なんだ!?観客が……!」
「妄想が具現化されていく!?うさ耳!触手!猫メイド!?」
観客の“性癖”が次々に可視化され、スタジオがカオス空間に!
「うわあああ!?ボクっ子全裸ゴリラが喋ってるぅぅぅ!!」
「私の中の“お兄ちゃんっ娘”が……具現化した……だと……!?」
「うわっ、危ない!!観客席から流れ弾がぁ!!」
ホーリィ・ホワイトが即座に立ち上がり、正義の光で妄想体を浄化する。
ジャスティス・ブラックは冷静に分析しつつ言った。
「――仮面が、制御不能になりつつある」
「いや、俺じゃなくて仮面が勝手にぃぃぃ!」
「このままだと“妄想領域”が現実に侵食する。世界が“性癖空間”になるぞ」
「それはダメだぁぁぁぁぁああ!!」