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次のゲーム

 アリスは約束通り転生者の情報を語りだす。


「私が知っている転生者の情報は1人分だけだ。」


「たった一人か。それでもないよりはあった方がいいか。」


 嫌味を言うコウに反応せずアリス。


「転生者は自分のことをレオと名乗っていたそうだ。」


「レオね…」


 何か思い当たる節でもあるのか、コウは黙る。

 アリスは気にせず続ける。


「レオはとにかく頭がいいらしい。だから頭を使ってクリアする<知>の難易度が高いゲームばかりをやっているそうだ。」


「はは、じゃあアリスじゃ勝てないな。」


「おいおい言葉が過ぎるぞコウ。」


 アリスはコウの胸ぐらをつかみ今にも殴りかかりそうな勢いだ。

 コウは両手を上げ怒るアリスをなだめる。


「まあまあ、落ち着け。それで?レオの他の情報は?」


 ため息を吐いてコウに向けていた拳を降ろすアリス。

 いちいちこんな言葉に反応してしまったら疲れる。といった様子で。


「レオがよく出没する場所があるらしい。それがカジノエリアだ。知っているかもしれないが、カジノエリアはトランプを使ったゲームやルーレットなんかのギャンブルをモチーフに作られたデスゲームが密集している場所だ。」


「ああやっぱりそうか。」


 何かを思い出した様子のコウ。


「なんだ。何か知っているのか?」


「ああ。レオ・ウィリアムス。俺の世界にいたアメリカのギャンブラーだ。確か、多くのギャンブルの大会で優勝している伝説の勝負師。」


「強いのか?」


 不安げな表情でアリスはコウに聞く。

 

「知らん。だが俺と同じく女神様に選ばれてるんだ。それなりに素質があることは確かだ。」


「私なんかが勝てるのだろうか…」


 そう呟くアリスにコウは驚く。


「お前レオとデスゲームで戦おうとしているのか⁉」


 それの何がいけないんだ、というようなとぼけた顔でアリスは答える。


「まあ。」


「おいおい。俺がさっきまで言ってたこと忘れたのかよ。お前は<知>のゲームじゃダメダメだからまだ可能性のある<技>か<運>のゲームだけやっとけって言っただろ。」


「それはそうなんだけど、私には時間がない。早く転生者を殺さなきゃいけないんだ。それにコウ以外の転生者とも戦ってみたい。」


「はぁ…相変わらずの馬鹿だった。」


 そう落胆するコウだったが、今のアリスはさっきまでコイントスのせこいイカサマに引っかかっていたただの馬鹿とは違った。それはコウもわかっていた。自分の弱さに気づいた一皮むけそうになっているアリス。だけどまだ一皮むけていないアリス。


「そうだな。じゃあレオとデスゲームをやる時はお前もまぜてやるよ。」


「今までの私とは違う所を見せつけてやる!」


 自信満々に言うアリス。しかし、「正直能力的にはあんま変わってないような…」と思ったコウだったがそれは口に出さないでおいた。


「そうと決まったなら早速カジノエリアに行こう!」


 そう言いながらコウの手を引き、書斎から出ようとするアリス。


「え?今日行くの?」


 コウは今日は優雅にコーヒーを飲みながら本を読んでまったりとした一日を過ごす予定だった。しかしアリスが突然訪ねてきてそれが崩れた。だがコウは諦めていなかった。アリスが帰ったあと、実行しようとしていたのだ。

 しかし現実はそううまくはいかない。アリスは自慢の馬鹿力でコウの手を引く。コウは自分の貴重な一日を守るために必死に抵抗する。


「おい…さすがに…今日は行かないぞ…てか力強っ!」


「何を言っている。早いに越したことはない。ここからカジノエリアなら車で一時間でつく。」


 デスゲーム無敵の男、コウは身体能力にも自信があった。というよりも身体能力においても最強だった。数々の身体を張ったゲームをクリアしてきた。しかしそれはデスゲームの中だからであった。コウはデスゲームをやると、諸々の能力が格段に上がる。つまりデスゲームをしていない今現在は、オスゴリラにも勝るアリスの力に勝てるはずもなかった。

 アリスに手を引かれ、そのままアリスが乗ってきたのであろう蒸気機関の車に乗せられた。


「カジノエリアまで出して。なるべく急いで!」


 エンジン音とともに車は発信する。それもかなりのスピードで。


「全く…面倒くさいことになった。」


 アリスに無理やり車に乗せられたことで、とんでもない体勢になっているコウはそう言う。


「なんだよめんどくさいことって。レオと戦えるのはお前にとってもいいことだろ?」


「はぁ…まあこうなってしまったのなら仕方がない。だがな、今カジノエリアに行ったところでレオがいる保証なんてどこにもないだろ!」


 体勢を整えてしっかり座りなおしたコウはそう言う。


「あ、確かに。」


「お前な、何も考えずに飛び出したのかよ。」


「すまない。じゃあ今から帰るか?」


「こんなとこまで来て帰らないよ。それに…」


 不気味に口元を歪ませながら。


「今の俺はデスゲームがしたくて仕方がなくなっている。」


 何回みてもこのコウのこの顔は恐ろしいな。とアリスは思った。


「わかった。例えカジノエリアにレオがいなかったとしてもデスゲームをやるとするか。私の練習にもなるし。」


「そうか。お前のデスゲームの練習になるのか。じゃあこんなのはどうだ。お前の長所、つまり運の良さを活かすゲームをする。」


「<知>のゲームをしなくてもいいのか?それじゃあ練習にならない気がするんだが。」


 それに対しコウ。


「いいんだ。お前はもうこれ以上頭がよくなることはないだろうからな。だから運の良さを伸ばすんだ。それにはやはり死ぬかもしれないという緊張感の中やるのが大事だ。」


「なるほど。それもそうだな。」


 途中で、頭がよくなることはないと言われていることに気づかずアリスは素直に納得してしまった。

 車を走らせること一時間弱、運転席から「着きましたよ。」という声が聞こえてきた。


「ついにこの時が来た。人生二回目のデスゲームの機会。」


 そう言って車の扉を開けるアリス。コウもそこから一緒に降りる。


「やはりカジノというだけあって華やかだな。」


 アメリカ、ロサンゼルスほど広くもないし、明るくもない。だが技術が発展しきっていない異世界の中では断トツで華やかだろう。コウはそう思った。


「こっちの世界にきてからこんな場所初めてだよ。」


 人も多く、かなりにぎわっており、日が沈んでいないにも関わらず、酒屋では酔っぱらって潰れている人までいる。


「確かにすごいな。私も初めて来たがこんな感じだったとはな。」


 周りの景色に圧倒されている2人だったが本題を思い出したかのようにコウが。


「そんなことは今はどうでもいい。さっさと面白そうなゲームを探そうじゃないか。」


「あーそうだった。」


 2人はカジノエリアを探索した。デスゲームを選ぶ上で大切なのはもちろん、

<知>、<技>、<運>のデスゲーム難易度だ。2人はこれの<運>の数字が高いゲームを探していた。

 探索し始めて数分、ついに見つけた。


「まあそりゃギャンブルなんて半分運勝負だ。<運>の難易度が高いゲームくらいすぐ見つかる。」


 難易度

<知>・・・1

<技>・・・0

<運>・・・5


 参加人数28人


「<運>の難易度、マックスの5だね。」


 不安そうなアリス。無理もない。いくら運がいいとは言え自分の命がほとんど運任せなのだ。


「さあ入るか。」


  ゲーム会場はレンガできた大き目の一軒家。大きな扉を開けるとそこには。


「おお、やっと来やがったか。」


「これでゲームが始められるな。」


 すでに先に入っていたデスゲームプレイヤーたち。

 そして。


「お!人数がそろったみたいですね。それじゃあ今から、デスゲーム

『死刑衰弱』のルール説明をさせていただきます。」


読んでいただきありがとうございます

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