子供傘立て
私は先ほど届いたばかりの荷物に手をかけ、ゆっくりとガムテープを剥がし始めた。この荷物は闇市場で購入した商品であり、自宅に届けてもらうようにお願いしていた。それが今日、届いたのだ。
ガムテープを剥がし終え、そっとダンボール箱を開けた。中には発泡スチロールが敷き詰められ、その上に寝転がるように子供の遺体が置かれていた。闇市場の人によると、処置を施して遺体が腐敗しないようにしているらしい。
胸には商品番号――子供の名前――を記したメモが貼り付けてある。名前は雨森宿子。
私はかねてから傘立てを自作したいと思っていた。この子の名前は傘立てにピッタリに思え、購入を決めたのだ。
ダンボール箱から雨森宿子の遺体を出すと、浴室まで運んだ。タイルに寝かせ、後頭部の少し上の辺りに電動ドリルの先を当てる。電源を入れ、頭に穴を空けていく。瞬く間に数センチほどの穴ができる。ちょっとずつ穴を広げ、ある程度の大きさになったところで電源を切った。
後頭部付近の血を洗い流し、数種類のスプレーで体中に色を付け、雨森宿子の遺体を玄関に運んだ。玄関の隅には古びた傘立てが置いてある。
私は雨森宿子の遺体を傘立ての中に置いた。遺体が倒れないように、傘立てに置いて支えようと思ったのだ。利便性を考慮し、顔側を壁に向けて置いた。傘立てとして使用するにあたり、顔のパーツが邪魔になるかもしれないと思ったからだ。顔のパーツを削いでも良かったが、面倒くさくてやめた。
雨森宿子の名を記したメモを背中に貼り直すと、私は愛用の傘を手に取った。
鼻息を荒くしながら、私は傘の持ち手を雨森宿子の後頭部付近に空けた穴にかけた。持ち手はすっぽりと穴に収まった。穴を大きくしたおかげで、傘の出し入れもしやすかった。
「君がどんな人生を送ってきたのかは知らないけど、第二の人生は私の傘立てとして役に立ってね」
私は満面の笑みで、傘立てと化した雨森宿子を見つめた。
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