同日、生徒会室
こんにちは、前書き&後書き二番手の東美桜です!
今回は自己紹介回になるのですが……早くも不穏な風が吹いてるようです。
果たしてどうなる、明啓高校生徒会!
というわけで今回もよろしくお願いします!
生徒会室と書かれたドアを少年が開ける。
室内はそこそこ広く、真正面に見える南向きの窓から少し入る夕方の光が薄暗く室内を照らしていた。
最後に入ったセミロングの少女がドアを閉め、壁のスイッチを押して灯りをつける。
壁には資料棚が並び、真ん中にはテーブル。それを左右に挟んで二人掛けのソファーが二つ、窓側に一人掛けの椅子が一つ置かれている。
「ソファー、も〜らい!んじゃ、おやすみ〜。」
少年は持っていた書類をテーブルの上に放り出し、すぐさま片方のソファーに寝転がると、目を瞑る。
それを見たセミロングの少女は、
「よしきた。」
少年が寝転がるソファーに近づくと、天高く拳を振り上げる。
その拳をそのまま少年の顔面めがけて振り下ろそうとした瞬間、少年の目がパチリと開いた。
「ん?うぉ!何してんの?!」
少年は慌ててソファーから飛び起きる。
「なんでもないっすよ先輩!!疲れてそうだからマッサージして差し上げようかなって!」
セミロングの少女はニッコリと笑う。
「え?そうなの?でも、なんか怖そうだしやめとくわ~。」
なんとなく危機を察したらしい少年は、?を浮かべつつもそう言った。
「(小声)やっぱり直接殺るのは無理があるか…。」
セミロングの少女が呟く。
「え?」
聞き取れなかった少年が聞き返すが、
「いや、なんでもないです。」
セミロングの少女はまたニッコリと笑うだけだった。
「あの。」
二人がそちらを見ると一連の様子を静観していたショートボブの少女が呆れ顔で少年が放り出した書類を片手に、もう片方のソファーに座っていた。
「なんでもいいんですけど、揉め事は後にしてもらえますか?ここで揉め事を起こしても先生方の思うつぼでしょうし。」
言いながらショートボブの少女は片手に持った書類でテーブルをペシペシと叩く。
「あーあ。完全に目ぇ覚めちゃったし。…で、何すればいいんだっけ?」
ダルそうに少年はソファーに座り直した。
セミロングの少女は一瞬、ショートボブの少女を睨みつけるが、次の瞬間には
「そうですよね!今やるべきことを考えましょう!」
と、椅子に座った。
「まずは役職を決めろ、とのことらしいです。」
ショートボブの少女が書類を見つつ、仕切り始める。
「会長、副会長、それに書記兼会計の三つなわけですが…。」
ショートボブの少女はここで言葉を止め、チラリと二人を見る。
「できるかどうかはともかく、まずは希望だけ聞かせてもらえますか?」
その言葉を受け、セミロングの少女は少し考えるようにしてから他の二人に視線をやる。
「…逆にお二人は何を希望してますか?」
「は〜い。」
ゆる〜く少年が手を挙げる。
「俺、責任とか嫌いだから〜。幽霊生徒会員で〜。」
「んなもんねぇよバカタレ!!」
ノータイムでセミロングの少女がツッコム。
「…あ、やっべ。素でいっちまった。」
思わず口を手で覆うセミロングの少女を見ながら少年は驚いたように
「びっくりしたぁ!君、そっちが素なんだねぇ。」
と言う。
「…うっす。」
とセミロングの少女は頷く。
それをショートボブの少女は冷ややかに見ていた。
「い〜い性格してんねぇ。そういえば、りじちょーが問題児集めたって言ってたっけ?俺、ここまで問題児じゃないと思うんだけどな〜。心外だわぁ。」
「問題児じゃなかったら生徒会室で寝ません!」
またもセミロングの少女がノータイムでツッコム。
「それ言われると耳が痛いわ〜。」
少年はケラケラと笑う。
「本当に問題児ではないと思っているのなら一度脳外科の方にかかることをお薦めします。貴方の話、クラスが違う私の耳にまで入ってきてるレベルですよ?」
ショートボブの少女も冷ややかに話に入ってくる。
「そっちの君はだいぶ辛辣じゃね?俺、なんかしたっけ?」
首を傾げる少年にショートボブの少女は言葉を続ける。
「先週、朝のホームルームから放課後のホームルームまで寝通したって聞きましたよ。聞いたときは呆れを通り越していっそ尊敬しましたけど、それで問題児じゃないと言うにはいささか無理がありませんか?」
「終わってるだろお前。」
冷ややかなショートボブの少女の視線と呆れかえったセミロングの少女の視線が少年を突き刺す。
「あー、あったあった!担任に反省文三十枚書かされたあれかぁ。」
陽気に言う少年だったが、尚も突き刺さる二人分の視線とシーンとした空気に、
「………はい。ということで真面目に役職決めましょうかね。」
気まずく話題を逸らしたのだった。
そんな少年にセミロングの少女は何故か(こいつメンタルだけは強いな。いいだろう殺すのは最後にしてやる。)と少し少年を認めたように一つ頷いた。
「そ・れ・で!俺、一番楽そうな書記で〜。んで、めんどくさそうな会計、誰か別の人兼任してくんな〜い?今なら…チュッパチャップス一本付き!」
少年は自分のスクールバッグの中からチュッパチャップスを一本取り出して見せる。
「飴一本で買収される人はいないのでは…。」
ショートボブの少女は呆れ顔で少年を見た後、スクールバッグから筆箱を取り出し、ボールペンを持つ。
「とりあえず私は会長に立候補させていただきます。誰もやる人いないでしょうし。」
ショートボブの少女は、役職決めの書類の会長欄にサラサラと自分の名前を書く。
「会長兼会計とかどう?」
「お前もう荷物まとめて帰れよ。」
食い下がる少年にセミロングの少女が呆れ顔で言う。
「なんなら着払いで送り届けてやるよ。」
ニヤッと笑い、煽るセミロングの少女。
しかし、
「え、いーの?帰って。じゃ、俺、書記のみってことで!じゃ〜ね~♪」
少年はパァッと顔を輝かせると、チュッパチャップス片手にスクールバッグを持って立ち上がる。
「あ、俺金欠だから送りは遠慮〜。」
は?という顔のセミロングの少女に向かってヒラヒラと手を振り、入口に向かう少年の前にショートボブの少女が立ち塞がる。
「待ってください。正当な理由がない限り、書記のみとかそういうわけにはいかないんですよ。勝手に帰らないでください。」
「え~、ケチ。そんなにケチだとモテないよ?それに彼女が帰っていいって言ったんだよ?」
少年はセミロングの少女を目で指す。
(やはり最初に殺しておくべきだった。)
ショートボブの少女と話す少年の後ろでセミロングの少女は悔しそうに少年を睨んだ後、笑顔を作る。
「ちょっとせんぱ〜い。軽い冗談じゃないですか〜。そんなんだと女の子に嫌われちゃうぞ❤」
セミロングの少女は可愛く小首を傾げる。
それに対して少年は、
「え、冗談だったの?うわぁ、面白くないじょーだんだねぇ。つまんない女の子もモテないよ❤」
セミロングの少女と同じように可愛く小首を傾げて見せる。
「…黙れ。」
セミロングの少女から低〜い声が聞こえた。
(やかましい。)
ショートボブの少女は一人頭を押さえる。
「うわぁ。お顔が怖いよ?」
さすがに危機を察した少年はセミロングの少女から逃げるようにショートボブの少女の後ろに行く。
「ちょっと、ねぇ、助けて…って、そういえば、」
ショートボブの少女に助けを求めようとしたところで少年はふと思い出した。
「名前は?」
「自己紹介をしていませんでしたね。」
とショートボブの少女も気づく。
「そういえば…」
と言うセミロングの少女からも殺気が消えた。
「二年A組の槇野 詩織です。」
居住まいを正し、ショートボブの少女は軽くお辞儀をする。
「俺は二年D組、神谷 遊斗。まぁ、テキトーにど〜も。」
少年は軽く手を振って見せる。
「一年A組の松永 桜華です!よろしくお願いします!」
セミロングの少女が最後に溌剌と自己紹介を終えた。
というわけで、初手から不穏ですね……!
これでも多分なんとかやっていけるはずなので、応援よろしくお願いいたします!
次の担当はケアル君です!




