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星空ポップコーン(2)

 エリザベッタの表情を横目でうかがいながら、、ジョバンニは問う。


「おまえは、どうして黒よりも黒ピウ・ネーロ・ディ・ネーロを探してるんだ?」


 傍らの彼女が少しだけ首を動かして、こちらに視線をよこした気配があった。


「言ったでしょ。リアルでお金をもうける為ため」


 ぶっきらぼうに言い放つ彼女に、ジョバンニはうなずく。


「そう。だから、その理由」


 ぴくり、とエリザベッタの小さな肩が震えたようだった。


「リアルのことを聞くのは、こういうゲームじゃあご法度のはずよ」


 黒よりも黒ピウ・ネーロ・ディ・ネーロを追い求める理由。エリザベッタは、それを隠しておきたいようだ。しかしジョバンニが求めていたのは明確で具体的な回答ではない。彼女には理由がある。それさえわかれば十分だ。


 ジョバンニはふと思い立って、彼女の赤毛に指先でそっと触れてみた。そのまま少しだけ指先を動かし、軽く髪を梳くようになでる。


 エリザベッタは「やめなさいよ」と文句を垂れたが、ジョバンニは、それでも構わずに彼女の小さな頭をなで続けた。口では不満を漏らしながらも、ジョバンニの仕草に甘んじている彼女の横顔を眺めながら。


 ――いつの間に、自分はこんなに甘い人間になったのだろうか。


 元来のジョバンニは、お世辞にも愛想のいい人間ではない。よく研いだ刃物のような警戒心で全身をくるみ、何物にも牙をむいていた。


 それが初対面のエリザベッタに「このお人よし!」と罵られるまでになったのはなぜだろう。

 とっさに浮かんだのは、時に明るく、時に情けなく、くるくると表情を変えるたった一人の友人の存在だった。


「ばかげてる」


 ジョバンニは一人ごちた。


 バーチャル世界で、たった一人の人間と出会っただけで、こんなにも変わってしまったなんて。


「――本当、ばかげてるよな」


 そんな仮説はとても信じられない。信じられない上にこっけいだ。


 少しだけ唇をつり上げて、ジョバンニは笑った。


「何ぶつぶつ言ってにやけてんのよ、気持ち悪い」


 エリザベッタはそう言ってツンとそっぽを向く。


「そうだよな。本当、気持ち悪ぃ」


 ジョバンニは彼女の意見に同意した。いよいよ得体の知れないものを見る目でエリザベッタが恐る恐るこちらをうかがう。


 ごまかすように彼女の後ろ頭をぺちんとたたくと、ジョバンニは勢いをつけて立ち上がった。


「さぁて、そろそろ戻ろうぜ。あいつも一人じゃ寂しいだろうからな」


 二人で食べ散らかしたゴミを拾い集めながら笑うと、エリザベッタはフンと鼻を鳴らしながらそっぽを向く。


「あいつは失礼な言動が過ぎるから、もう一発くらい蹴っ飛ばさないと気がすまないわ。そうと決まったら早く行きましょ」


 憎まれ口をたたきながらも律儀にゴミを拾っているあたり、エリザベッタは何ともおこちゃまだ。ジョバンニが思わずくすっと笑みをこぼすと、たちまち小さなが飛んできた。

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