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情報墓場《ダータ・ディ・チミテーロ》(1)

 予期せぬバースデープレゼントを受け取ってから、十分ほどした頃だろうか。


 相変わらず悠々と星の海を航行するフェロヴィーアに、ジョバンニは一抹の不安を感じていた。


「なぁ、こいつは一体どこに向かってるんだ?」


 何度も口にしそびれた疑問をようやく投げかける。


「んー?」


 声色から、彼がほぼほぼいつもの調子に戻っていることがわかってほっとした。


「目的地は、ちゃんとあるよ」


 そう言ってカムパネルラはディスプレイから視線を外した。


情報墓場ダータ・ディ・チミテーロって知ってるかい?」


 ブルートパーズのような二つの瞳が、きらりといたずらっぽく輝く。


「……知らねぇよ。どうせハッキングして得た情報だろ。出し惜しみしてないで教えろよ」


 ジョバンニがそう言ってねめつけると、カムパネルラは芝居がかった仕草で肩をすくめながら、「何だよ。つまらないなぁ」と唇をとがらせた。


「そんなことを言うんじゃあ教えてやらないよ。どうせもうすぐ見えてくる頃だし」


 そう言ったカムパネルラが手元の装置を操作すると、メインディスプレイの映像が切り替わった。


 映し出されたのは星雲……だろうか。細かなちりのようなもやが、きらきらと輝きながら一つの塊を成している。


「あれが目的地か?」

「そう」


 カムパネルラはこくりとうなずいて、素早く手元に幾つかのウィンドウを展開した。


「着陸するから、ちゃんと座っていてくれよ」


 そう言った彼の表情がいつになく真剣だったので、ジョバンニはそれ以上何も言わず操縦席の背もたれに体を預ける。少しした後にわずかな衝撃があって、フェロヴィーアが目的地にたどり着いたらしいことが知れた。


「さぁ、行こうか。きっと素敵な出会いがあるよ」


そう言ってカムパネルラは笑ってみせる。


いつもの屈託のない笑顔とは少し違う、わずかな緊張をはらんだ挑戦的な笑みだった。

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