第6話
今日も昨日と同じく川沿いを歩く。
野宿は辛い。
火番のために交替しながら夜を明かすのだが、地面に雑魚寝だし、眠いし、時々獣の鳴き声がしてめっちゃ怖いしで疲れが全然取れなかった。
明るい時でも当然獣に襲われることはあり得るので、光弥が頑丈そうな枝を見繕って作った棒で最低限の武装は確保している。
今のところ杖としてしか役立っていない。
あくびを噛み殺しながら、真剣そうに周りを警戒する光弥のあとに続いていく。
30分ほど歩いただろうか。
遠くの方から激しい水音が聞こえてきた。
「「滝だ」」
俺と光弥は同時に走り出していた。
音の大きさから、そこそこ遠くだと思っていた滝は、案外近くにあった。
が、思っていたものとは大分違っていた。
「「ちっさ………」」
流れ落ちる水量は大したものだが、2メートルもなさそうな低い滝だったのだ。
だがまあ、光弥が言っていたように高い滝であればそれ以上進むことは叶わなかっただろう。
雄大な景色を若干期待してワクワクしていた分残念ではあったが、状況としては悪くない。
何とも言えない表情を二人して浮かべながら滝の横の崖を慎重に下った。
滝以外にはとくにこれといった難所(?)もなく、順調に進んでいった。
しかしもう野宿は嫌だ。
村とかに着きたい。
ふかふかのベッドで朝までぐっすり寝たい。
気づけば願望が口から漏れ出し光弥に窘められる始末。
日本男子高校生らしい脆弱な精神が限界を迎えようとしたその時、俺の祈りが通じたのか。
森の奥から光が差し込み
視界が開けた。
そして無数の槍に囲まれ
人生の幕は閉じた。