2-2 バトルアーティスト
下北沢を探索していた俺たちを囲むようにロックスの党員と思われる3人組の男女が姿を現した。
「遂に乗り込んで来やがったなラビッツども!」
「我らロックスがラビッツなんぞ返り討ちにしてやるわ!」
どうやら俺たちのことをラビッツだと勘違いしているようだ
「俺たちはリベレイツ、ラビッツじゃない。俺たちもラビッツと戦って……」
「リーダー危ない!!」
「うおっ」
ベチャッ!
男の持つ筆のような武器から放たれた絵の具の斬撃がさっきまで俺の立っていた空間を切り裂き弾け飛ぶ
こばんちゃんの予知能力がなければ危なかった
「あんたらいきなりなにすんだ!俺たちは戦いにきたんじゃ……」
豊の言葉を遮るように本を持つ女が喋りだす
「“なにすんだ!“ですって?っふ、笑わせないで」
続いて俺に攻撃してきた筆の男が言う
「選挙戦なんだよ。戦争なんだよ。お前たちがもしほんとにラビッツじゃなかったとしても
仲間じゃない時点で敵に決まってんだろ」
そう言って親指を立て下に向ける。
どうやらこいつらの説得は無理そうだ
所の話によれば党首は話の分かる人間のはず
期待をしてないが聞いてはおこう
「……ちなみにロックスの党首に合わせてもらうことってできるか?」
「お前らなんか俺達だけで十分だ!香里奈、仁美こいつらをぶっ飛ばして票奪うぞ」
「なあにが“ぶっ飛ばして票奪うぞ”よ。指図しないで、ふんっ」
「どうでもいいけど氷室さんのとこ早く戻りたいし手伝いはします」
やはり党首は別にいるようだ
「一安心かな?とっととこいつら黙らせるか。2人ともやりすぎないようにな!」
「ラジャ☆私はあの服の子とやるから武田の旦那はあっちの変なお姉さんをよろっ」
「女相手はやりづらいんだが人数的に仕方ないか。よっしゃいくぜ!」
どうやら俺は筆野郎担当のようだ
「さっきの仮を返させてもらうぞ」
―――戦闘が始まった。
武田 豊vs高良 仁美
「“女相手はやりづらい”?なめてかかると痛い目みるわよ!見せてあげるは私の能力を
私の前にひれ伏しなさいっ‼『威圧』」
「ぐあぅぅぅぅ。なんだこの能力、体が圧されて上手く動かねぇ……」
仁美は威圧で動きを防いだことで勝ち誇ったように笑いあげる
「オホホホッ。あなたの精神力ではそれくらいしか動けないようね?そのまま大人しくしていれば苦しまないよぅ……」
すると突然豊が吠える
「うおおぉぉぉおお‼ふんっ‼」
精神攻撃ときいて気合で威圧を振り払ったのだ。
「そ、そんな。嫌だ。なんで。キャッ。こっちこないで……」
威圧を気合で振り払ってゆっくりとこちらに向かって来る豊に恐怖し
仁美は足がすくみその場に座り込む
「そこまで怖がられると流石に凹むんだが。」
頭を掻きながら困った顔で仁美の前に立つ
「あ、あぁぁ。ぁぁ。」
もう恐怖でなにも言えなくなった仁美をかわいそうに思いつつ
豊は仕方ないと割り切ったように言う
「『怪力解放』。危ないから動くなよ……」
右肩に左手を乗せ仁美が暴れないようにして右腕の拳を引く
仁美は怯え涙を流しながら恐怖にギュッと目を閉じる
「ふんっ‼」 ズドーーーン
振り下ろされた拳は仁美の長い黒髪をかすめ地面を揺らした
――床ドンだ。
キュンとしてる可能性も捨てきれず豊が覗いたその顔は
やはり気絶して白目をむいていた。
「あちゃー。決め台詞まで考えてたんだけどなぁ……」
勝者
武田 豊
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戦況
・リベレイツ:3人/9票
・ラビッツ:24/39
・ロイヤルズ:6/16
・リバース:11/21
・ロックス:10/15
・脱落:46人
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おまけ
高良 仁美
聖獣:かまきり 武器:本 能力:威圧 出身:岡本 年齢:20歳
大学では演劇サークルの座長を努めている。
次回もバトルメインです