1-4 未来視の猫少女
豊との話し合いで俺たちの次の目的地は経堂に決まった。
経堂は俺たちの住む１２区において成城・三軒茶屋に次ぐ大型都市で
区のランドマークでもある巨大なスズランタワーと区随一のターミナル駅がある巨大都市で
有権者が最も集まりそうな場所であった。
そのはずだったのだが、２人が到着した経堂をみて唖然とする……
「嘘だろ。ここがほんとに経堂なのか？」
「駅に経堂って書いてあるし、場所的にもそのはず。それにほらあれみてみろよ」
豊が指差す先にはすずらん通りと書かれたオブジェクトが立っていた。
２人は顔を見合わせ爆笑した。
しばらく街を探索していると駅の方から騒がしい声が聞こえるのに気がつく。
「おい、豊」
「ああ、駅の方で誰かが戦ってるっぽいな。で、どうする？」
「一旦近づいて様子を見る。相手の能力を確認してから対策を立てて漁夫の利を狙おう。」
「……わかった。」
義勝の作戦に少し不満がありそうな顔をしたものの納得はしてくれたらしい
２人が駅の方に近づくと４人の有権者の姿が見えた。
……３対１。
しかも男３人が女の子１人に容赦なく攻撃を繰り出していた
「なんて奴らだ……」
今すぐにでも女の子を助けに動き出そうとする豊を義勝が止める。
「抑えろ。相手の能力がわからないで飛び出したところで３人を相手にするのは無理だ」
「でも‼」
「ああ、わかって。女の子を助ける方法を考えよう。」
「……。相手の能力を判断するような余裕はない前提で頼むぜ、相棒」
豊に睨まれながら義勝は最低限の作戦を伝える。
「あの刃物を持った男は俺が抑える。豊はあのデブを頼む！」
そう言うと義勝は豊の返事も待たず飛び出す
「流石は俺の相棒だな」
呆れたように呟くと豊もまた飛び出す
「げへへ、ちょこまかと躱してはいるがいつまで持つかなお嬢ちゃん」
「こっち来んなこの変態！あと少しで助けが来るの！」
「ぶひひ、なにを根拠にさっきから。仲間なんていないのは知ってるぜ？ぶひひ」
「そーだぜ嬢ちゃん。俺たちゃ襲う前からあんたをつけて確認済みさぁ？ケケケッ」
「カンがそう言ってるの！こばんちゃんのカンは絶対なんだから！」
「げへへへへ」「ぶひひひひ」「ケケケッケケケ～」
３人は気持ち悪い笑い声を上げ笑う。
そして一斉に攻撃を繰り出す。
「きゃっ‼いやぁ気持ち悪い～」
デブが泥のようなもので逃げ場を封じ、ヒョロが粘着液のようなもので足を固定し
動けなくなった女の子の武器をチビが能力で奪い包丁で女の子に斬りかかる。
「げへへ、死ねクソアマぁ‼」
見事な連携だった。
しかし、女の子は笑っていった。
包丁が女の子を切り裂こうとしたまさにその瞬間――。
「『武器創造』」
「げひゃゃあああ‼‼」
義勝の槍がチビの腕を貫く。
それを見てデブは慌てて義勝を攻撃しようとするが豊の強力なタックルに吹き飛ばされる。
「ブヒィィィィィィィィィ‼‼」
「お前の相手はこの俺だ！」
「ケケケエ～‼てめえらなにもんだ！」
慌てふためくヒョロの背後に女の子が回り込む。
「だからいったでしょ？こばんちゃんのカンは当たるって☆」
女の子はそう言い放つとその手に握った刀剣でヒョロを一刀した
「げぇやぁぁぁぁぁああああ‼‼」
断末魔とともにヒョロが消滅する
それを見てデブとチビの顔が青ざめる
「あの子やるな。」
よそ見をする豊にデブがすかさず泥攻撃を仕掛ける
「どこみてんだ？ぶひっひっひ！」
しかし非情にも泥攻撃は豊には効かなかった
「男なら卑怯なことしてんじゃねえよ。痛えだろうが！」
効いてはいたらしい……
「ぶひひひひ。これならどうかな？『泥魔人‼』」
デブを包むようにして泥でできた巨人が豊に殴りかかる
「『怪力解放』」
泥魔人と豊の拳がぶつかり合ったように思えたが
豊の拳は泥魔人を一方的に砕きそのまま中にいる本体を吹き飛ばす。
「ブヒィィィィィィィィィ‼‼」
断末魔を上げ消滅するするデブ
それを見て追い詰められたチビはまるでドラマのワンシーンのように
震えた両手で包丁を構え義勝に向かってくる
「ぐはっ……」
義勝が槍でとどめを刺すとチビも消滅した。
３人目の消滅を確認すると女の子がこちらに向かって走ってきた。
「ありがとう～こばんちゃんとっても助かったよ！」
色白で猫目だが柔らかい笑顔の可愛らしい小柄な少女。髪は栗毛のロングボブ、猫耳のニット帽を被り上はダウンベスト、下はボーダーのタイツにオーバーオールホットパンツといったガーリーな印象のボーイッシュな服装の少女をみて義勝は思ったのだった……
守りたいこの笑顔！
助けてよかった～
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おまけ
名前 聖獣 武器 能力 出身
鈴木勇気 ネズミ 包丁 盗む 喜多見
田中裕也 ぶた こんぼう 泥 弦巻
小林海人 かえる 舌 粘着 鎌田
チンピラ３人はたまたま出会い意気投合したらしい。
