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ショートショート4月~

かみさまのらくがき

作者: たかさば
掲載日:2020/04/13

ぼくがうんとちいさいころ。


おかあさんといっしょに、こうえんにいった。


すなばで、おぼえたばかりのもじをかいていたんだ。



「ゆうくんは、もじがとってもじょうずね!」



おかあさんが、ほめてくれた!


おかあさんをみあげたとき、ぼくは、あおいそらに、らくがきがあるのをみつけた。



「おかあさん。そらに、いっぱいらくがきがしてあるよ!」



おかあさんは、ぼくがみあげたそらをながめて、にっこりわらっていった。



「あれはねえ、かみさまが、もじをかくれんしゅうをしているんだね」


「かみさま?」


「そうだね、まだちっちゃいから、いっしょうけんめい、れんしゅうしてるんだね」



かみさまは、ぼくよりもちいさいんだって。


ぼくのほうがおにいさんだから、がんばれって、おうえんしてあげよう!



「かみさまー!がんばってー!」



そのひから、ぼくは、まいにちかみさまのらくがきを、みてあげるようになったんだ。





ぼくは、小学生になった。


神さまのらくがきを見るのが、ぼくのにっか。


今日は、どんならくがきを、するのかな?



おもしろい線をかいていたら、笑って。


まっすぐな線をかいていたら、すごく上手ってほめて。


ぐちゃぐちゃになってたら、どうしたのって、心ぱいしたり。


神さまのらくがきは、神さまからのメッセージ。


文字はまだ書けないみたいだけど、つたわってくる、神さまの気もち。


わかるよ!ぼく、しん友だからね!



青いお空に、神さまのらくがきがいっぱい。


今日の神さまは、ごきげんみたい。


たのしいね!よかった!


ぼくもうれしくなってきたよ!



明日もまた、いっぱいらくがき、みせてね!





僕は、中学生になった。


毎日たくさん書かれていた落書きが、最近あまり、見えないのが気になる。


母さんが言うには、最近空が汚れてきてるんだって。


よくない煙が、青い空をおおって、うす暗い色に変わってる。


週末のよく晴れた日は、神さまの落書きが、見えることもあった。


たまに見せてくれる、神様の落書きは、小さいころに見たものよりも、なんだか元気がなかった。


神様、大丈夫かな。


僕に、できること、あるかな?





僕は、高校生になった。


神様の落書きは、黒い雲に覆われて、見ることができなくなった。


青い空が、見えなくなった。


神様の落書きが、見えなくなった。


神様が、文字を書けるようになるまで、見守りたかったのに。


これじゃ、それを、見届けることができないじゃないか。


僕にできることは、なんだろう。


僕の長年の親友に、僕ができること。





僕は、大学生になった。


神様の落書きを見ることが無くなって、久しい。


僕は、研究を始めた。


神様に、青い空を返すために。


神様に、思いっきり、落書きを楽しんで貰える様に。


僕にできることは、何だってするよ。


君は、僕の、かけがえの無い親友だから。






「先生、お時間ですよ。」


僕の秘書が、時間を知らせる。


ああ、もう、こんな時間か。



「授与式の準備はよろしいですか?」


「僕の身一つあったら、それで良い筈だが…。」


「先生!スーツのボタンぐらい、留めてくださいよ!!」



僕は研究しかして来なかったから、身嗜みには、無頓着なんだよ。



秘書に無理やりボタンを留められながら、僕は空を見上げる。


大きな窓の外には、青空が広がっている。



僕は、やっと、神様に青い空を返してあげることができたんだ。



ずいぶん、待たせてしまったね、僕の親友。


どうだい、青い空の、描き心地は?


このところ、ずいぶん綺麗な線を描くようになったね。


とても上手になったと、僕は感心しているんだ。


君には、長い時間、我慢をさせてしまったよね。


思いっきり、練習していいんだよ。


この、どこまでも続く青い空に、思いっきり落書きをしておくれ。



「お時間ですよ!」



急かされた僕は、大きな窓を閉めようと、手を伸ばした。


青い、青い空に、白い、白い線が何本も見える。


ああ、神様が、落書きを始めたな。


今日は何を描くんだい?


白い、白い線の中に紛れて。












神様、文字が、書けるようになったんだね。


大きく、なったね。


ずっと見守ってきた、僕の親友の、成長を心から喜ぶ。



「僕のほうこそ、ありがとう。」



僕は扉を閉め、部屋を出て、表彰式会場へと、急いだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] いい話ですね。 [気になる点] この原動力は分かる。暴走ブルドーザーですよ。 [一言] かわゆい
2020/05/12 22:13 退会済み
管理
[良い点]  子供から大人になるにしたがって、見方や考え方が変わっていく様子を書かれていて、ぜひ参考にしたいと思いました。 [一言]  この話を読んで、小学校の低学年の国語の時間に学習した「くじら雲」…
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