森の熊さん〜超短編集〜
『森の熊さん』
花子ちゃんは、森へきのこを、とりに出かけました。
鳥がぴいぴょと鳴き、谷川がころころと雪どけ水をながしています。
いい空気です。おおきく息をして、肺のおくまで、いっぱい吸いこみました。
おばあさんに教えられた、ひみつのばしょへ行くと、木の葉のかげからぽこぽこと、きのこたちが、くびを出しています。
よろこんだ花子ちゃんは、いそいでかけ寄りました。
きのこに手をのばそうとした、そのときです。がさがさっとササやぶが、波うちました。
「森にはこわい生きものがたくさんいるから、気をつけるんだよ」という、おばあさんのいましめを思いだし、あおくなりました。
こわい!
とつぜん、黒いかげが立ちあがりました。
あらわれたのは、なんと毛むくじゃらの熊さんではありませんか。
「お嬢さん、こんにちは」
熊さんは、声をかけてきました。
「こんにちは」
ほっと胸をなでおろした花子ちゃんは、木こりの熊さんに、おへんじをしました。
よく知っている熊五郎さんで、よかったです。
そして、二人はきのこでカゴをいっぱいにし、どっこいしょと山をおりていきました。
めでたし、めでたし。
(『森の熊さん』おしまい)
『シンデレラン』
「いけませんわ。十二時を打つ前に、わたし帰らないと」
シンデレランは、この夜もあわててカボチャの馬車に乗り込みました。
召使A「魔法がとけるからかしら?」
召使B「違うわよ、時間までに帰らないと、ファンデーションがひび割れするんですって」
(『シンデレラン』おしまい)
『動物のパンツ屋さん』
従業員「店長、蛸さんのパンツが虫食いで商品になりません」
店長「ムカデさんに売ろう」
(『動物のパンツ屋さん』おしまい)
『みにくいあひるの子』
大きくなっても、きれいになりませんでした。
世の中、甘くないですね。
(『みにくいあひるの子』おしまい)
『アリとキリギリス』
アリ「キリギリスさんは、なぜ働かないのですか」
キリギリス「仕事は体に良くない」
(キリギリスさんに3拍手!)
(全部おしまい)
〔これらの物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係ありません〕
次の作品もよろしく。
●超短編集『美しい水車小屋の娘』『虹色のくも』『はだかの王さま』『うさぎとかめ』『アラジンと魔法のパンツ』『早すぎた埋葬』
●千鶴と美里の仲よし事件簿『尿瓶も茶瓶も総動員、人質少女を救い出せ』『グルメの誘いは甘いワナ』『昔の彼は左利き』『尿瓶も茶瓶も総動員、人質少女を救い出せ』
●前期高齢少年団シリーズ『ケータイ情話』『ミッション・インポシブルを決行せよ』『車消滅作戦、危機一髪』『秘密指令、目撃者を黙らせろ』『さよならは天使のパンツ大作戦』
(上段もしくは、小説案内ページに戻り、「小説情報」を選んで、作品一覧からクリックしていただければ、お読みになれます)