とある転移者の回想〜【スキル強奪】編〜
短編です、短編です。
思えば、私がこうして安定して生活できるまで、長かったものだ。
こちらの世界に来たばかりの時は、下手なミスをしてばっかりだったものだ。
ここで一つ、自分語りをさせてもらおう。
私はレド・スロート。転移前では赤井 翔太という名であった。
ひょんな事故で死んだ私はカミサマとやらに蘇らせられ、この異世界にあるスキルとともに転移させられた。
そのスキルこそ【スキル強奪】!
初めての街での冒険者ギルド加入時にそのことを知り、まだまだ無知だった私は興奮した。
そして何も考えず、そう、何も考えずに同業者、つまりは冒険者からスキルを強奪しようとしたのだ!
あの時は本当にバカだった。なぜ何も事前に調べなかったのか?いまでは良き思い出だが。
そして、その冒険者からスキルを強奪した私は、ギルドに再びスキルを調べるよう依頼した。
だがその結果を聞いて唖然とした。私のスキルは【スキル強奪】と【弱体化】となっていたのだ。
そこで危険を感じた私は町の図書館に駆け込み、スキルについて調べた。
その結果わかったのは、スキルとは人への枷であり、人の助けとなるのはアビリティという事だった。
それを知って私は唖然とした。つまり私はスキルを使えば使うほど弱くなるのだ。
それを知った私は1ヶ月、町の宿にこもった。ちなみに金の出所はカミサマである。
20年分の生活費をくれたのだ。その点に関しては感謝だ。礼を言うカミサマ。
と、こもっていたある日、私はあることに気づき図書館に走り、スキルブックを開いた。
そして考えに考え、ある考えにたどり着いた。
ワンチャンある!と…
私はまず、そのスキルブックの中の二つのスキルを手に入れることから始めた。
そして2ヶ月経ち、私はそのスキル【虚勢】と【自動固定】を手に入れた。
早速私は手持ちの3つのスキルのコンボを試すことに決めた。
そう、その時私が思いついたのはスキルのコンボ、例えば、【弱体化】と【虚勢】と【自動固定】のコンボだ。
やり方は簡単、まず3秒動きを止めると外的要因以外では動けなくなる【自動固定】をつかい、時間が経つほど弱くなる【弱体化】を発動、そして弱いものほど強く見えてしまい、襲われやすくなる【虚勢】を使う。
私はこの気迫コンボを町の近くの草原で試した。するとどうなったか。
町に戻った私を待っていたのは、泡を吹き倒れた人々と、恐怖で腰を抜かした人々だった。
そこで確信した。キマシタワ、とな。
だが、そこにもさらに落とし穴があった。
なんと、そうして気迫で無双していた私の元に、魔王軍の使者がやって来たのだ。
もちろん無力な私に、断ることなぞできず、そのまま連れられてしまい、魔王のいうまま、魔王軍の一員とされてしまった。
魔王軍というのは人員不足で強ければなんでもいいらしい。
でも人を取り入れるかね?
で、魔王軍にはいらされた私だが、いい加減気迫だけでうまくいかなくなっていった。
そこで新コンボ。
魔王に有給(ホワイトな会社だ大たのは幸いだった。)を貰い、私はスキル探しの旅に出た。
今回は魔界も範囲内なので、すぐに見つかった。
そのコンボとは、【スキル自動発動】と【行動公開】を使ったものである。
さあ、そこの君、ぜひともあててみたまえ。
なになに、わからないだと?では教えてやろう。
【スキル自動発動】で【スキル自動発動】を発動し続けるのだ。それを【行動公開】で他人に公開する。するとどうなるか。
答えは簡単。
スキル【スキル自動発動】がスキル【スキル自動発動】を発動しました。というログが、私の周りを埋め尽くすのだ。
それもとんでもないペースでだ。
もちろん私に公開してくれるような便利スキルでないので、他人にしか見ることはできない。
結果、私の近くの人間は皆目が見えなくなる。
しかもシステムによってだ。
さらにはピロンピロン音も流れ続けるので、はっきり言って害悪コンボだろう。
状況でいうと、視界が埋まり、ピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンとなっている状態だ。
私からしたらトラウマものだ。バグを思い出し震える。
そのコンボと、気迫コンボによるコンボのコンボで魔王決定戦を無双した私は、魔王になった。
そうして私はまた旅に出た。
私は魔王でも、自分で行動する派の魔王なのだ。
勇者をぶちのめすためである。
なんだかんだで仲間になった仲間のためにも○☆○☆勇者(自主規制)はぶち○さないといけないのだ。
そして、こんどはかなり時間がかかり、私はそのコンボのためのスキルを手に入れた。
それは、【自傷】と【的外れ】のスキルである。
おそらくコンボはわからないと思われるから正解を言おう。
空中に現れる刃により自分のランダムな場所が切り刻まれる【自傷】を、自分の攻撃が全て的、つまり目標を避けて飛来する【的外れ】をつかいながら発動する。
つまり、カッターナイフの刃のようなものが四方八方にランダムに飛来し、しかも周りの人間はコンボで視界と音のバグ状態。
その力で勇者に対応した私は、「うわお前の戦い方マジでキモっウザっ!」の勇者の捨て台詞とともに勝利した。
そうして危機から逃れた私は、それからも覇道を進むのだが…少し喉が渇いた。
自分語りとは喉の乾くものであるなぁ。
少しレートキアナ湖の新鮮な水でも、摂りに行くとしよう。
では諸君、また機会があれば会おう。
付き合ってくれて感謝する。
ではな。
どうもはじめまして!キウコです!どうぞ、是非ともけなしていただきたく思うので、批判ヨロシクお願いします!