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初心者は午後から行け


 【排泄物糞太郎=高坂優里視点】



 暑い。暑いなあ。


 まだ昼前でこの暑さなんだから、入場規制が終わった昼過ぎに落ち着いてから中庭でコスプレをしよう、見ようとか思ってる人は本当に大変よね。

 特撮系とかネタ系の着ぐるみの人達なんて死んでしまうんじゃないかしら。


 コミケに来た事ない人はピンと来ないかもしれないけど、コミケのネタ枠コスプレというのはとんでもないのだ。

 何でそんなコスプレしたの? なんて疑問に思ってはいけない。彼らはアホなのだ。目立つ為なら何でもやる。

 ポッキーとかいるのよ? クソ暑い中、手も頭も出せずに箱の中でじっとしている。

 訳がわからない。あんなのただの苦行じゃない。


 コスプレしてなくても暑いのだ。次第に頭がポーッとしてきて、たまらず氷結魔法を発動させる。


 「アイスフロスト」


 ふぅ……涼しい。

 天変のアレインなら、『アイスフロスト』でビッグサイト全体を真冬みたいに出来るんだろうけど、自分の周りの温度を下げるだけで精一杯。

 私も魔力が少ない訳じゃないと思うんだけど、アレインと比べたら全然だし、多分氷結魔法の適正もないんだと思う。

 うーん、帽子も取っちゃおうかなあ。汗をかきすぎて蒸れっ蒸れなのだ。なんせ、二つ(・・)も被っているから。

 よし、取っちゃおう。


 帽子を脱ぎ、黒髪のカツラを外した。

 青い私の地毛が露になる。びしょ濡れの髪をワシャワシャと掻きむしって、水分を飛ばしてやった。


 普段なら奇異の目で見られるこの髪も、コミケなら目立たない。

 頭だけラヴィーンにしてみたと言えば通じるだろうし。



 それにしても。


 さっきの人アレインにそっくりだったなあ。

 靴とか小物も、アニメ版レインというよりアレインのものだった。


 顔も体つきも、アレインそのものだった。


 ……。


 偶然? そんな偶然あり得る?

 まさか、本人?


 そんなバカな。だってあの人、ディアンナTシャツを着て私の同人誌を大事そうに抱えてたのよ?

 あの『天変のアレイン』がそんな事する訳ないじゃない。

 そうよ、落ちつくのよ優里。確認すれば済む事なんだから。


 ウエストポーチから黄金水晶を取りだして、周りから見えないように机の下で操作する。

 異世界との扉を開く黄金水晶。

 私一人じゃその全てを使いこなす事は出来ない。せいぜい異世界の映像を黄金水晶に映す事ぐらい。しかも、魔力量の多いものしか検索に引っ掛からないから、実際はアレイン専用の監視カメラって感じ。

 最近はコミケの準備とか小説の締切が重なって忙しくてあまり見ていなかった。久しぶりにアレインの魔力を探す。


 あれ? アレインが見つからない。

 いくら探してもあの馬鹿げた魔力は見つからない。

 つまり、異世界にはいないって事だ。

 つまり、こっちの世界に来てるって事で。

 え? 嘘、まさか、さっきのは本物のアレイン?


 闇堕ちじゃなくてオタ堕ちって何なのよもう!


 こっちに来てるって事は、黄金の地下迷宮を踏破したって事よね?

 

 とりあえず彼を探さないと。黄金水晶の片方は彼が持っているといいんだけど。


 ガタッと乱暴に椅子から立ち上がるが、同時にアナウンスがコミケの開場を告げる。


 もうそんな時間?


 すぐにここも人で溢れかえる。そうなったら人探しなんて無理だ。諦めて椅子に座り直す。


 よし、さっさと完売させてアレインを探そう。そう決意した。



 【今回の教訓】


 どうしても買いたいものがあるのなら覚悟を決めて並ぶしかないが、雰囲気を味わいたい! とか、コスプレイヤーを見たい! という目的なら昼過ぎに行く事をおすすめする。

 入場規制も解かれて自由に出入り出来るから探索しやすいぞ。


 人も減るから体感的に暑さもマシになるが、外の気温は昼過ぎの方が高くなる。暑さ対策は油断せずにしていこう。


 C94開幕! 台風のコスプレ糞笑った。王蟲がすごかった。(語彙力)

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