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才能無のゴーレム使い  作者: クロ
一年春学期
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第4話 入学式

談話後、寮内にある食堂で軽めの夕食を食べてから就寝する事になった。

学食は学院に在学している間は無料である。

夕食の内容に関しては特に話すことが無かったのでここでは割愛。

強いて言うなら食堂が想像以上に広かったことだろうか。


個人的にはまだ話したい内容があったのだが、先輩が”明日は入学式で疲れるだろうから早く寝なさい”と言ってきたので、就寝することになった。


寝る直前に先輩が「明日は頑張れよ」とニヤニヤした顔で言われたが入学式で何を頑張るのだろうか?


翌日、朝目を覚ますと先輩の姿が無かった。先輩の勉強机には置き手紙が置いてあり内容を確認する。


”用事があるため先に学院に行く。アルも遅れるなよ”


といった内容だった。

先輩とは昨日の間に打ち解けていたため、”アル”という愛称で呼ばれることになった。


部屋に掛けてある学生服に着替えた後、朝食を食べに学食に向かう。

今日の朝食は食パンにシチュー、野菜サラダとなっていた。全て別々の皿に載せてあり、まとめてトレーに置いてある。

昨日も来ていたのだが、通学前と言うこともあり多くの学生が見られた。

先輩曰く食堂には長机が幾つも並べられており、全体で200人が収納できるそうだ。

しかし、朝の食堂は人が多すぎて席が確保できない。

最悪、立ち食いでもいいかな?


周囲を見渡していると、一区画だけ席が空いている場所があった。

前の席には男子生徒が座っているが、この際相席でもいいだろう。

他の学生に席を取られる恐れもあるため、早足で空席に近づいた。


「相席いいですか?」

目の前に座る男子学生に向けてことわりを入れる。

「っは!大丈夫ですよ。私も一人で食べてましたから」

学生はこちらを不思議そうに眺めていたが、我に返ったように返事が返ってきた。


よし、これで立ち食いの必要がなくなった。

朝から立ち食いは正直しんどいので遠慮したかったのだ。


「ありがとうございます」

礼を述べ、席に着く。

時間の問題もあるため、早速食事を取り始めた。


食事も半分を過ぎた時に気がついたのだが、席に着いた辺りから目の前に座る男子生徒が食事を一切進めず、俺のことをずっと凝視しているのだ。

最初は無視して食事を取っていたのだが、さすがに不気味に感じてきた。


「俺の顔に何か付いていますか?」


無難なかけ声で相手に話しかける。


「すみません。いつも一人で食べていたものですから、目の前に人がいるのが新鮮で。今日もルームメイトに見放されましたし、つい・・・」

頬をかきながら恥ずかしそうにしている。


俺もクレス先輩に見放されてー向こうは用事があったため仕方ないのだがーいるので、何となく気持ちは分かる。

食事はみんなで食べるのが一番おいしいからね。

「俺でよければ、朝食を一緒に食べますよ?」


などと、言葉が出てしまった。正直、この人は初対面なのだが悪い人では無いように感じる。

迷惑だったかな?


相手の顔色を伺っていると、男子学生は晴れやかな顔になりながら素直に喜んでいた。

喜んでもらえて何より。

その後、雑談を交えつつ朝食を進めてる。

話してみて思ったが、この人は別に話し下手とかそういったタイプでは無く、むしろ物知りで話しやすい人物であることが分かった。

何故、いつも一人でご飯を食べることになっているんだろう?

朝食を済ませたあたりで、男子生徒は席を立ち上がる。


「この後少し用事があるので私はこれで失礼します」

簡単な挨拶を済ませた後に席を離れていった。

面白い人だった。明日も会えるといいな・・・・・そういえば名前と学年を聞きそびれた。

重要なことを聞きそびれていることに気付いたのだった。


入学式は体育館で行われるとクレス先輩から聞いていたため、朝食を済ませた俺はそのまま目的地に向かう。

寮から出ると、多くの学生で賑わっていた。

数にして100人以上はいるのではなかろうか。

さすがは全校生徒1000人の学院だ。

辺りから聞こえてくる話は当たり障りのない内容で、”クラス分けはどうなるのか”や”集合場所はあ体育館でいいのか”等。

どうやらこの場所で新入生が集まっているようだ。

会話を聞く限り、皆で足踏みを揃えて登校したいものでできた集団であるため、素通りする事にした。

だって人混みにいると気分が悪くなるのだから仕方ない。


集団から抜け出し、しばらく歩くと校舎の隣に高さ50m程の円柱状の棟が見えてきた。

入り口とおぼしき場所には多くの学生が集まっているため、間違いない。


「4列に整列しろ。それで並んだら列を乱すな」

入り口近くに行くと聞き覚えのある声が聞こえてきた。

声の主に目を向けるとクレス先輩がメガホンを使って注意を促していた。


先輩は案外真面目な人なんだな。


「こら、そこのお前、今列から少し逸れただろう。そっちの生徒もだ」


何故か注意を促している生徒が全員男子生徒なのは見なかったことにしよう。

クレス先輩に挨拶だけでもと思ったが、忙しそうなのでそのまま列に並ぶことにした。


俺の前にはだいたい二十人並んでいる。様子を見る限り生徒毎に案内される場所が分けられているみたいだ。

待つこと5分で体育館に入ることができた。

入り口前で”1”と書かれた番号札を受け取る。受付の学生より、番号札に書かれている区画に向かうように促された。席も設置されているため好きな場所に座っていいとのことだ。


体育館内部にはいると、1階部分は直径50mの円形で下に土が敷き詰められている。1~4区画を奥側、5~8区画は入り口側にして席が設けられている。一区画に25人座れるように席が設置されている。

俺は入り口で渡された”1”区画に向かう。既に数名の学生がいたが、全員離れて座っているため、会話が一切ない。

俺は最前列の通路側に座り、式が始まるのを待つことにした。


式が始まるまで暇だったので、体育館の造りを確認する。

一階部分では運動を行えるように、普段から物を設置しているような雰囲気はない。

視線を上に向けると階段状に観客席が設けられていた。一番驚いたことは天井がないことだ。今も太陽の光が会場を照らしている。


雨の日だとこの体育館は利用できなさそうだな。


等と一人で考え事をしている間に学生も増え、入学式の始まりが告げられた。

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