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才能無のゴーレム使い  作者: クロ
一年夏学期
35/37

第35話 不思議な力

俺はソニアが男の元に向かっているのを全力で止めにかかる。

この女性を死なせてなるものか。


必死だった。だから気付かなかったんだろう。男の攻撃に・・・

「まずはお前から始末してやる」

ソニアの脇を通り抜け、一直線でこちらに向かってくる。

気付いた時には男の手にはナイフが。そしてナイフを持った手が俺の首筋に伸びていた。


(まずった。素手で戦っていたから、凶器を持っていないと油断していた)

血の気が引いた。

殺られると思った。


そう感じたが結論から言うと男のナイフが首筋に届くことは無かった。

「クソッ、またか」

何やら男が毒づいているが、どうしたんだろうか?

目の前の空間?に手を当てる。

ペタペタペタ

んん?空間が触れるんだけど・・・

触れる空間に手を当てると、俺を囲むように360度ぐるっと壁みたいになっていた。


よし、落ち着こう。まずは状況の整理だ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

まず、

ソニアが男を始末すると男の元に向かった。

俺は慌ててソニアを追いかける

男が俺にナイフを持って襲い掛かる

そして、ナイフを阻むように透明な壁が出現する

・・・

状況整理終了。

結論・・・

「意味が分からん」

目の前の男も訳が分からないみたいで、ナイフを何度も壁に叩きつけていた。

あっ、ナイフが折れた。

「おい、坊主。この見えない壁みたいなのは何だ?」

終いには、(ターゲット)に透明な壁について聞いてくる(暗殺者)

俺も知らないし、そもそも殺そうとしていたターゲットにそんな内容を普通聞くなよ。


「その壁に攻撃しても無駄ですよ。貴方程度ではどう足掻いても傷一つ付けれませんから」

男の問いが聞こえたのか、後ろからゆっくりと歩いてくるソニアの声が届く。

「それってどういっ!」

どういうことですか?と尋ねようと、ソニアを見た瞬間。言葉が詰まってしまった。

彼女はゆったりとした足取りでこちらに向かってきているのだが、満面の笑みだったのだ。

その笑みが何故か非常に怖かった。本能が警鐘を鳴らしているみたいだった。

まるで、怒りが頂点に達した人間が見せる表情だ。

あかん、これは話しかけたらダメなやつだ。

この後、起きることは・・・

俺は脳裏に()の姿を思い浮かべながら、ソニアを眺めていた。

だが、男は俺のそんな内心を知るはずもない。

「おい女、今のはどういうことだ」

だからだろうか、男は、今のソニアに話しかけてしまったのだ。


「黙れ」

ソニアから出た言葉はとても重く辺りに響いた。

周囲の空気が一気に変わった。男が纏っている殺気よりもさらに深い何かが空間を支配する。

「それほど知りたければ、教えてあげます。貴方の体を用いて」

ソニアの言葉が終わると同時に、男が地面にひれ伏していた。

腕をプルプルと振るわしていることから、何かから必死に抗っているように見えた。

「お、女。何なんだ、この力は」

男は行き絶え絶えに、ソニアを睨みつけている。

ような気がした。俺の角度的には見えないから何とも言えないけど。そもそも男がいきなり地面にひれ伏したと思うと、一向に起き上がってこない。どういうことなんだろう。

分からん。

俺はこの状況に完全に置いてけぼりになっていた・・・



「まだ話す力が残っているのですね。仕方ありません。もう少し力を上げます」

ソニアの声に呼応するように、男の体は徐々に沈んでいく。

「お、お前も、ゴーレムの恩恵を、使えるのか」

男の声は先ほどよりも苦しそうなものだった。

「まだ、話せるのですか。もう少し力を強めましょう」

ソニアが呟くと、男はついに地面に這いつくばってしまった。

僅かに、うめき声だけが聞こえてくる状態だ。

「あなたは私の目の前で三つの過ちを犯しました」

男の状態に満足したのか、ソニアが俺の隣まで戻ってきた。

そして、何か説教を始めだした。

「一つは、私を無視したこと」

うん、何を言い出しているんだ?この人は。

「二つ目は、私を蚊帳の外にしたこと」

やばい、この人。とりあえず一瞬でも無視したことが気に食わなかったみたいだ。それだけで大の大人、それもゴーレムの恩恵を受けた人を有無を言わさず、圧倒しているのか・・・

本当に何者なんだよ。

人族にできる芸当じゃないぞ。もしかして、ラウン先生みたいに亜人だったりして。もしかして、エルフとかの精霊族かも。まぁ、そんなわけないか。


「そして、三つ目。これが最も許せないことです」

うわぁ~。これ以上理不尽なことを言わないだろうな、この人は。

見てみろよ、地面に突っ伏している男が完全に呆けているぞ。状況が整理できていないんだよ。

「それはアルベルト。この子に危害を加えたこと」

んん?どういうこと?

男に言葉をかけた後、俺に視線を向けたソニアは

「申し訳ありません。私が油断したばかりに。お怪我はありませんか?傷はありますか、あぁ、そういえば私が現れるまでに怪我をしていました。すぐに手当てをしないと」

・・・何故か、あたふたしていた。


それから十分程たった気がする。

ソニアによって手当された(必要なものは俺のカバンに入れてあったので、それを用いた)俺は、未だに地面に伏せている男に視線を向ける。

何だか分からないけど、生きているのか?

男の動く気配が一切感じられなかった。

死んでいるとかないよな?

「ソニアさん、状況がうまく整理できていないんですけど、とりあえず、男の人に使っているものを解除してあげた方がいいんじゃないですか?」

彼女は今、俺の体をペタペタ触り傷がないかチェックしている。

「アルベルトは優しいですね。さっきまで殺そうとしていた人間の安否を確認してこいですか」

彼女は子供の成長を喜ぶ母親のように微笑ましそうな表情をしている。

そして、一瞬男の方に向き直り、すぐさま俺に視線を戻してきた。

「ソニアさん?」

え?今顔を僅かに男に向けただけだけど、大丈夫なのか?

等と考えていると、男はゆっくりとだが、立ち上がってきた。

全身汗だくで、今にも倒れそうな状態だけど。どうやら無事みたいだ。


「はぁはぁ。くそ、どうなってやがる」

やはり男も今の状態が納得できていないらしい。

肩で息をしていても、かなり悔しそうにしていた。

安心しろ、男よ。俺も状況が全く掴めていないから。

考えても分からないことに時間を費やすのはやめよう。

「それで、ソニアさん。あなたはゴーレム使いなんですか?」

今なお、俺の体を触り続けるソニアに目を向ける。

顔がかなり綻んでいた彼女はすぐに真剣な表情に変わる。

えっ?何で今、俺の体を触りながら顔を綻ばせていたの!

ヤバい、この人絶対ヤバい。今のは見なかったことにしよう。

「そうですね。あなたが気にするのは確かに当然です。ですがその話はあそこにいる男を追い払ってから話すことにいたしましょうか。」

ソニアが男に向き直り、一言。

「去れ」

また、重く苦しい空気が漂ってきた。

男もその空気に当てられたのか、顔が青く染まっていた。でも、暗殺者のプライドが許さなかったんだろう。

「このまま帰れるか」

今の状態のソニアに向かって特効を仕掛けていた。

「アイギス」

彼女の言葉が出ると同時に男は()()()()()()

そう、文字通りぶっ飛んでいったのだ。恐らく見えない壁で何かをされたんだろうな。かわいそうに。


結局、男の存在については何も分からなかった。

(一体、何者だったのだろうか?)

男が飛んでいった空を眺めて、思わず考えてしまった。


「それでは、アルベルトの疑問に答えていきましょうか」

一仕事やりとげたような雰囲気を漂わせながら、彼女は俺の目の前に戻ってきた。


そして、

「まず、結論から言います。私はあなたのために召喚されたゴーレムです」

ソニアが告げた言葉の意味が理解できなかった。

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