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才能無のゴーレム使い  作者: クロ
一年春学期
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第1話 プロローグ

あなたは目の前で両親が殺される瞬間を見たことが見たことがあるだろうか?


俺は少しだけ見たことがある。

なぜ少しなのか?

理由は簡単だ。

当時7歳だった俺は、両親が亡くなる間際で、意識がなくなったからだ。

では、両親が誰に殺されたのか・・・


それは5年経った現在でも分かっていない。

強いて言えるとすれば、


”両親の遺体は跡形もなく消えているのに対し、すぐ後ろにいた俺は傷一つないきれいな状態だったこと”

”二人を殺したものは人間ではないこと”


といった二つのことだけだった。


更に一晩でアルフ村が消え去ってしまったことという事が同時に起きていた。

この事件を後に”アルフ村の悲劇”として伝えられる。


・・・・・・・・・・


辺りを見渡す。

元は森であったであろう場所には火が回り、木々は黒ずみ、炭化した状態で地面に横たわっている。

周囲から視線を外し、自身の体に注意を向ける。普段よりも小さい手のひらが確認できた。


またこの夢か。


今の状況が夢であると判断する。

理由は至極単純で、


一つ目に、俺の身体はこれほど小さくないということ

二つ目はこの5年間、今見ている光景を何度も見ていること


が挙げられるからだ。


そのため、この後の展開も既に分かっている。


「「アル、逃げなさい」」


二人の男女が俺をある生物から庇うように立ちふさがる。

既にボロボロにも関わらず、二人は必死に俺を守ろうとしている。


やめてくれ!


俺は必死に声を出そうとするが、二人には届かない。

届くはずもなかった。

火の渦に巻き込まれた両親が、俺に振り返り、口を動かしている。

何を伝えたかったのか分からないが、笑っているように感じられた。

俺の記憶はこの直後から完全に消えてしまった。




◇◇◇

少し重い瞼を開く。

「んーーー」

布団から体を起こす。

ぼんやりとした頭で時間を確認する。

時刻は午前6時半。

窓に設置してあるカーテンの隙間から僅かに光の筋が延びている。


「また、いつもの夢か」

両親が亡くなった事件に対して踏ん切りを付けたつもりだが、まだこの夢には慣れることがない。

静まりかえった部屋の中で、独り言を呟くがもちろん返事は返ってこなかった。

大きく伸びをして、体をほぐすと少しだけ眠気が薄くなった気がした。


ベッドから降り、青色を基調とした学生服に着替える。

鞄を持ち、一階にある台所に顔を出した。


「おはよう、アリアナおばさん」

「アルかい?おはよう。朝ご飯できているから顔を洗っておいで」

水回りに立って、朝食の準備を行っている赤髪が特徴の女性に挨拶を送る。

台所の向かいにある洗面所で顔を洗った俺は食事の席に着く。



「それにしても、似合っているじゃないか」

食事をする俺の姿を見ての言葉だった。

おばさんは俺の制服を見て、感心しているようだ。

もちろん、毎日こんな会話がある訳じゃない。

なら、何故今日に限ってこのような誉め言葉を頂いたのか、理由は簡単だ。

今日から学生生活が始まるのだ。


”ゴーレム育成学校”

全国から魔力を有する男女を集めて育成する学院である。入学資格は魔力を持つ12歳以上の学生が対象だ。

学院長は、サルバトリ王国で6人しか存在しないゴーレムマイスターの称号を持つじいさんが務めていることから、農民から貴族、国王まであらゆる階級の生徒が集っている。


まぁ、学院長を始めとしたゴーレムマイスターの称号を持つ人物二人と交友があるが、今はどうでもいいことだろう。


「今日から寮生活だから、家にはあまり帰ってこれないよ」

学院は例外を除き、全生徒が寮生活を送ることを義務付けられている。

反対意見もあったそうだが、学院長が面白半分で押し通したらしい。

家が学院の近くにある人間にすれば、いい迷惑だ。


「別にいいわよ。それよりも、同じ部屋の先輩には失礼がないようにね」

皿洗いをしながら、淡々と述べられる。

俺が家に帰ってこなくなると、アリアナおばさんが一人になるのだが、寂しいとかはないようだ。


ご飯を食べ終え、学院に向かうべく家を出た。

「いってきます」

「ええ、いってらっしゃい」

おばさんが玄関まで来てお見送りをしてくれた。


さぁ、今日は入寮日。どんな人が同室になっているのか楽しみだ。

物語を描くペースがかなり遅いので、投稿が不定期になると思いますがよろしくお願いします。

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