最期に見たもの
空の地平に
飛行機雲が伸びていたの
他の雲はなくてね快晴の空だったわ
だからかしら 泣きたくなったのは
か細い雲が一人空にあって
か細い私も一人地上にいる
手を伸ばしたは
近づきたくて
でも届かないのね
そりゃそうよ
手をいくら伸ばしたって
雲は掴めないのだから
私も誰にも掴めない女
だから一人なのね
なぞったは輪郭を
優しいのね
丸々していて
私も波にもまれ
角なんて取れてしまったわ
風が出てきたわ
輪郭もぼやけて
あなたもう消えるのね
そう いいわ
私も消えるところだったの
最後に見れて良かったわ。